【写真提供:JFA】
【日本 1-0 オマーン カタールW杯アジア最終予選】
カタールワールドカップのアジア最終予選第6戦が現地16日に行われ、日本代表はオマーン代表に1-0で勝利を収めた。
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10月のオーストラリア代表戦から今月11日のベトナム代表戦、そしてオマーン代表戦と、日本は3連勝。開幕から3試合で2敗と序盤は大きくつまづいたが、ここにきてようやく波に乗ってきた。
オーストラリア代表が中国代表と1-1で引き分けたこともあり、オマーン代表に勝利した日本代表はワールドカップ出場権獲得圏内の2位に浮上している。
この連勝の過程で、高いパフォーマンスを継続している選手もいる。2試合連続で決勝点を奪ったMF伊東純也は言わずもがな。途中出場で左サイドバックに起用されているDF中山雄太の働きぶりも見逃せない。
おおよそ60分過ぎにDF長友佑都との交代で中山が左サイドバックに投入されるのは定番になってきた。パフォーマンス低下が著しい35歳の大ベテランに取って代わるのは、東京五輪世代のリーダー格だった中山かもしれない。
森保一監督は「スタートから出ても全く問題ないパフォーマンスを出してくれていますし、今日も彼が入って、非常に安定したプレーをしてくれた。守備では落ち着いて相手の攻撃を止める、攻撃ではチームにとっていいアクセントとなる受け方、配球をしてくれていたと思います」と中山を褒め称えた。
ベトナム戦の際も「左利きの特徴を生かして、前線にパスを配球する」というビルドアップ面の貢献度を評価されて交代出場し、存在感を発揮した。中山の左サイドバックとしてのパフォーマンスは試合を重ねるごとに有効性が目立つようになってきている。
東京五輪でも共に戦ったDF吉田麻也も、中山の能力を高く買っている1人だ。オマーン戦後には「決して簡単な状態で入るわけじゃない。安定したパフォーマンスを出し続けていけているのは非常にポジティブな点」と後輩に賛辞を送った。
「ディフェンスラインで途中から入るのは非常に難しいと思うんですけど、うまくやっていて、少しずつプレー時間を稼いで、慣れてきているし、東京五輪でも十分やれていた。(前に)縦に速い選手を置くことによって雄太がうまくバランスを取るというのが1つの形としてできつつあるなと思いますね。監督もそれを狙ってあえてセットで替えていると思うんですけど」(吉田)
中山自身は「まだまだ僕の理想とするサイドバックではない」としつつも、「1つのポジションをある程度の期間しっかりと連続してできたので、手応えをつかみつつできている」と左サイドバックとしてのプレーに自信を深めている。
東京五輪で左サイドバックを任され、所属するオランダ1部のPECズウォレでも今季は基本的に左サイドバックで主力の座をつかみ、A代表でも左サイドバックでの起用が想定されている。もともとセンターバックやボランチを柔軟にこなす守備のユーティリティ選手として知られていたが、今の中山は左サイドバックとしてのキャリアを謳歌している。
そのうえで期待されるのが、日本代表における世代交代だ。長く左サイドバックで不動の地位を築いてきた長友は、厳しいパフォーマンスが続き、相手に狙われるようにもなってきている。もはや絶対的ではなく、後輩たちにポジションを奪われても不思議ではないだろう。
日本代表の左サイドバックで定位置を奪う候補の筆頭が、今は中山になっている。
「僕の中でやっぱり試合に出るというのに、サッカー選手として強い気持ちがあるので、そこは日々、僕が成長するために頑張っている意識ですけど、正直まだまだスタート(先発)で使われていなかったりする。
いま自分に何が足りないのか、どうやったらスタメンに名乗り出られるのかを、日々、自分に矢印を向けてやれていますし、僕の中では少ない時間でもパフォーマンスを発揮しなければいけないなと思っているでの、いずれスタメンをしっかり奪取できるように、所属クラブに帰っても頑張っていきたいと思います」
長友は「ロシアワールドカップの前からおっさん、おっさんと言われていたので、免疫がついていますし、おっさんのパワーを見せつけてやろうという気持ちも芽生えます」と批判の声に自らのパフォーマンスで立ち向かう姿勢を見せていた。
「ありがたい環境でやれていると思いますね。それだけサッカーを愛する人、日本代表を愛する人がたくさんいるんだと思いますしね。若い選手に負けずに、自分もまたより一層のエネルギーで戦いたいという気持ちでいます」
ベテランが”おっさんパワー”で意地を見せるか? 若者が成長で追い抜くのか? 中山は「僕としては(三笘薫と)タイプの違う(南野)拓実くんとも一緒にやって、また違ったプレーを見せたい。今後は誰が出ても、それこそ組む選手によって僕の特徴が試合によって変わるのが僕の中で理想なので、日々頑張って、試合の時に見せられればと思います」とも話していた。
南野と共に長い時間プレーするなら、スタメン奪取が近道。よりプレー時間が長くなれば、タイプの違う選手と数多く組むこともできる。左サイドバックとしての持ち味も発揮しやすくなるはずだ。日本代表で存在感を高める中山のポジション奪取に期待したい。
(取材・文:舩木渉)
【了】