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日本代表 10年前

軍事政権下のタイ、民心掌握のためW杯を強引に無料放送。日本代表ユニフォームを着る若者の姿も

いよいよ開幕したブラジルW杯。惜しくも日本は初戦のコートジボワール戦で敗れたが、5月22日のクーデター以降、軍事政権下にあるタイでも様々な面でW杯は盛り上がりを見せている。

text by 長沢正博 photo by Masahiro Ngasawa

勝訴判決が一転、W杯全試合が無料放送に!?

 まず大会開幕直前にメディアを賑わせたのはテレビ放映権の問題だった。元々はタイの音楽芸能会社RSが2005年に取得し、一部を除いて有料テレビで放映される予定だった。だが、タイ放送通信委員会が昨年1月、全試合の無料放送を規則で義務付けると、RSは放映権取得後に規則が導入されたため無効と反発し、法廷闘争に発展。最終的に最高行政裁判所がRS勝訴の判決を6月11日に下した。

 これに待ったをかけたのが、現在、国の実権を握っている国家平和秩序評議会だ。RSに全試合を無料放送するよう働きかけ、結局、委員会が補償金としてRSに約4億2700万バーツ(約13億円)支払うことで合意し、陸軍系の5チャンネルなどで無料放送されることになった。

 これには、試合を見るために事前にRS社の専用受信機を購入していた市民からは不満の声もあがった。RS社はW杯に向けて販売していた専用受信機の回収、払い戻しに応じることになった。

 さらにW杯に合わせるように、バンコクなど一部に残っていた夜間外出禁止令(午前0時1分から午前4時まで)も13日までに解除された。

 元々、隠れて営業している店は多々あったが、この解除によって深夜の試合もバーなどで大手を振って観戦できるようになった。軍事政権も社会の反発を招かないよう気をもんでいるように見える。これによって私も自宅のテレビで日本戦を見られることになった。

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