【写真:Getty Images】
この夏、長く欧州でプレーしていた日本代表の中心選手たちがJリーグに復帰した。
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ドイツのブレーメンからヴィッセル神戸に加入したFW大迫勇也、フランスの名門マルセイユからFC東京に復帰したDF長友佑都と浦和レッズへ移籍したDF酒井宏樹。この3人は、いずれも日本代表で揺るぎない立場を築いてきた重鎮だ。
Jリーグ復帰を決断するにあたって、もちろん心境の変化はあっただろうが、彼らのサッカーに対する思いに変化はあるのだろうか。日本代表メンバーのほとんどを海外組が占めるようになった現在、ある意味その流れと逆行する道を選び、国内組としてプレーするにあたって意識が変わった部分があるのだろうか。
結論から言えば、彼らは何も変わっていない。日本代表合宿に参加している3選手が5日にオンライン取材に応じ、そこで確信した。
酒井はマルセイユでのシーズンを終えてすぐU-24日本代表のオーバーエイジ選手として東京五輪に参戦。そして、大会後も休みなくレッズに合流し、Jリーグの過密日程をこなしてきた。そのためなのか9月の日本代表戦ではコンディションの悪さが目立ち、1試合目のオマーン代表戦を終えたタイミングで途中離脱することになった。
9月シリーズを振り返った酒井は「代表に選んでいただいて9年くらいになりますけど、(欧州でプレーしていた頃と)スケジュール的には変わりないので、僕自身は普通にやっているつもりでした」と語る。
それでも休みなく走り続けてきた影響は大きかったわけだが、もうコンディションに問題はない。「そこに関して全く不安はない」と、サムライブルー不動の右サイドバックは断言する。
さらに日本代表を引っ張る立場としての自覚にも以前と何ら変わりはない。9月にオマーン代表戦で敗れたことを教訓に「もう空気感が全てだと思います。やっぱり2次予選とは違う空気をみんなで出して、みんなで共有していくことで、どれだけ大事な一戦に臨むかというのが決まってくると思うので」と、酒井は来たる10月の2連戦に向けて気を引き締めていた。
大迫も同じ意見だ。「いま僕らが置かれている状況は、全員がわかっていると思います。サウジアラビアとオーストラリアは先月2連勝しているので、ここでこの2チームを叩かないといけないと強く感じていると思うし、そこは危機感というか、全選手が同じ方向を向いて、いい準備をして、いい試合の入り方をすることが大事かなと考えています」と語る。
7日のサウジアラビア代表戦と12日のオーストラリア代表戦は「最終予選の前半戦の山場」であり、「結果が出なければワールドカップ(出場権獲得)も厳しくなる」。エースストライカーの重責を負う大迫は、Jリーグに復帰してもこれまでと変わらない自覚を持ち続けている。
「自分が常に考えているのは、ピッチの中で何をすべきか、何をするのが効果的かということ。ピッチの中がすべてなので、ピッチの中でいいパフォーマンスができるように最高の準備をすることしか考えていないです。それ以外は何も考えないようにしています」(大迫)
過去の試合のことは彼にとって意味をなさない。大事なのは常に目の前の試合でどんなパフォーマンスを見せるかだ。
どんなときも「いま」にフォーカスする姿勢は、長友も同じ。11年ぶりにFC東京復帰を果たした35歳は「心境の変化はないですね。海外組であろうと国内組であろうと、Jリーガーであろうと、この日本代表でやるべきことは僕自身は変わらないと思っているので。気持ちも含めて、全く変わっていないです」と、サッカーに対する向き合い方に一切ブレはない。
今回の日本代表メンバーでJリーグでプレーしているのは酒井、大迫、長友の他にGKの2人だけ。他は全員欧州でプレーしている選手たちで構成されている。
国内組の選手たちが今後、日本代表の競争に割って入っていくためには、この夏に欧州から戻ってきた3選手のパフォーマンスが1つの基準になるだろう。同時に彼らには国内組に対して、これまでと変わらずA代表や世界基準のプレーを見せていくことが求められる。長友は「もちろんそれは僕自身も意識しています」と語った。
「僕自身が一番、ピッチで見せないといけないと思っています。FC東京の選手として、Jリーガーとして、今回(復帰後)初めて日本代表に入ってきたので、そこは自分がしっかりと(Jリーグの選手に)基準を示せるようにと意気込んでいます」(長友)
日本に世界基準を持ち帰ってきた3選手は、Jリーグの競争レベルを一段、また一段と引き上げる存在になれるだろうか。まずはサウジアラビア戦とオーストラリア戦で、国内組になっても変わらないクオリティの証明と、有言実行のパフォーマンスに期待したい。
(取材・文:舩木渉)
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