【写真提供:JFA】
日本サッカー協会(JFA)は28日、10月シリーズに向けた日本代表メンバー25人を発表した。
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同月7日と12日に行われる2022年カタールワールドカップ・アジア最終予選の試合に登録できるメンバーはベンチ入り含めて23人までとなっている。そのため25人では、試合ごとに2人のベンチ外選手が出ることになる。
そうまでして多めに選手を招集しているのはなぜだろうか。森保一監督は28日に行われたオンライン記者会見のなかで25人招集の背景を「9月の代表招集の反省」だと説明した。
「怪我などで選手の入れ替えをしなければいけないときに、やはりすぐに選手が招集できないのがコロナ禍だと思っています」
9月の活動時は、ポルトガルの離島から超長距離移動を強いられるMF守田英正は日本帰国のタイムリミットに間に合わないため1戦目のオマーン代表戦までにチームに合流できなかった。またDF冨安健洋はアーセナルへの移籍交渉の影響で帰国を見送っていた。
さらに追い討ちをかけるように離脱者が続出したのも痛手だった。大阪でのオマーン代表戦前にDF板倉滉とMF南野拓実が負傷。その試合を0-1落とすと、2戦目の開催地カタールへ渡航する前にコンディション不良のDF酒井宏樹もチームを離れた。
オマーン戦は23人を揃えられず、急きょガンバ大阪からDF昌子源を試合当日に合流させる形で追加招集して22人で戦いに臨んでいた。ただ、南野は起用できない状態のままベンチ入りしており、試合でプレーできる選手はさらに少なかったのが実際のところだった。
2戦目の中国代表戦に向けては守田と冨安がチームに加わり、フランスからFWオナイウ阿道を呼び寄せて23人を揃えたが、多くの選手のコンディション不良や離脱者の発生により全体の足並みが揃わなかったのは事実。メンバーが揃わないまま準備しなければならない状況は、苦しい戦いを強いられる要因の1つになっていた。
森保監督はその「反省」を踏まえ、今回は最初から多目の25人招集に踏み切ったようだ。「何かアクシデントが起こった時、そして対戦相手を見て選手の入れ替え等々をできるようにしていきたいということで、今回のメンバーの構成になりました」と自らの考えを述べる。
10月シリーズはMF伊東純也が7日のサウジアラビア代表戦で出場停止になるため、起用できない。他に合流遅れなどで試合に出られない、あるいは途中離脱で所属クラブに帰らなければならない選手はいない見込みだが、実際に合宿が始まってから何が起こるかはまだわからない。
コロナ禍という状況も踏まえると、追加招集選手を瞬時に呼び寄せられる保証はない。国内での試合で追加招集するなら国内組の選手、海外での試合なら海外組の選手と選択肢が限られる可能性も十分にあり、新型コロナウイルス検査の陰性証明やワクチン接種証明など、各国によって異なる渡航条件をすぐクリアできるとも限らないのである。
今回の招集にあたってはA代表経験の少ない若手選手も多く選出しており、森保監督は「野心を持って、このチームに絶対残るんだというところ、この2試合に勝って存在感を発揮するんだという、ハングリーな、アグレッシブな部分を、思い切り出してもらいながら、チームのエネルギーにつなげてほしい」と期待を寄せる。
備えあれば憂いなし。ベンチ入りの枠すらも争う激しい競争を喚起しつつ、有事にも対応可能な陣容を整える。森保監督の周到な準備は、サウジアラビア代表とオーストラリア代表に連勝という結果につながるだろうか。
(取材・文:舩木渉)
【了】