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柴崎岳が語った、これからの日本サッカーが進むべき道「彼らはそれを何十年もかけて積み上げてきている」

text by 編集部 photo by Getty Images

柴崎岳
【写真:Getty Images】



 日本代表は2日に控えるカタールワールドカップのアジア最終予選・カタール代表戦に向けて合宿を続けている。

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 この夏に東京五輪が終わり、「1チーム2カテゴリー」を掲げて強化を進めてきた日本代表は新たなフェーズに突入することになる。今回の招集メンバーにも久保建英を筆頭に東京五輪世代の選手が多く選出されており、これから本格的にA代表の選手たちとの融合が進んでいくことになるだろう。

 U-24日本代表が挑んだ東京五輪の戦いを「全試合見ていた」という柴崎岳は、「一戦一戦、選手が成長していく、自信を勝ち取って戦っていくのは見て取れました」と語る。

 そして、「ここから何人がA代表に食い込んで、さらにA代表を成長させていけるかは、これから非常に興味がありますし、底上げをしていかないといけない世代だと思います」と東京五輪世代の選手たちに大きな期待を寄せる。

 東京五輪でベスト4になった後、多くの日本の選手たちが今後の指標となる存在として「スペイン」の存在を挙げていた。まだ世界との差は大きいという現実を突きつけられての率直な思いだろう。

 例えば、U-24日本代表で中盤の柱に成長した田中碧は「個人個人を伸ばして1対1を勝ち続けることを目指すのか、それともスペインのように11人で同じ絵を描いてサッカーをするのか。その両方をやっていかないと彼らには追いつかないし、彼らはもう違う世界に行っている」と強い危機感を口にしていた。

 さらに「自分たちがやってきたデュエルだの、戦うだのといった世界を彼らはもう通り過ぎている。チーム一体となってどうやって動くか、どうやってボールを回すか、どうやって勝つかに変わってきているし、それに自分たちも適応していかないと」と田中は続けた。

 森保一監督も別の視点から「スペイン」に言及する。「日本人の国民性や文化を考えたときに、より長い時間、スペインのようにアクチュアルプレーイングタイム(ボールがピッチ内で動いている時間)を長くして、キツくても続けてプレーして相手を上回ることを目指した方がいいかなというのを、スペイン戦のときにすごく感じました」というのが指揮官の見解だった。

 では、単純に「スペイン」を追いかけていけば日本サッカーは成長するのだろうか。実際に長くスペインでプレーしている柴崎に、その疑問をぶつけた。すると彼は豊富な経験をもとに日本サッカー界が進むべき道について持論を展開した。

「やはり日本はこれまで戦ってきて、自分たちにとってアイデアになったり、参考になるような相手に対して、『彼らのこういうことをこうしていく必要がある』だとか、そういった発言はこれまでもたくさんあったと思うんです。

例えばスペインだったら、あのシステム(4-3-3)で、やり方でA代表もアンダー世代も一貫してやっているし、クラブ単位で言えば、全てのチームがそうではないですけど、ある程度似たようなポジショニングで、アイデアこそ違えど、やっているプレー、目指していく攻め方や守り方は、スペインA代表や五輪世代の戦い方に似ているクラブも多々あります。

何が言いたいかと言うと、これは続けないと意味がないことであって、短期的にこうした方がいい、ああした方がいいというものではないということ。もし仮に何か『こういったことがやりたい』ということがあっても、彼らはそれを何十年もかけて積み上げてきているので、すぐにできるものでもない。そういった歴史だったり経験、成功や失敗を繰り返しながら、続けていったら、もしかしたらそういった(スペインに近づくような)ところにつながっていくのではないかなと思います」

 日本サッカーはこの30年で急速に成長してきたが、列強国との差は埋まるどころか開き続けている感覚すらある。それでも追いかけることをやめず、目指す方向をしっかりと定め、辛抱強く続けていくこと。

 ただ他の国を真似るのではなく、参考にしながらも日本なりに解釈し、そこから論理的に導き出した方向性と継続性こそが日本のサッカーを発展させるための唯一にして最短の道かもしれない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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