【写真:JMPA代表撮影】
U-24日本代表は3日、東京五輪の準決勝でU-24スペイン代表と対戦した。
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115分に途中出場のFWマルコ・アセンシオにゴールを破られ、延長戦までもつれた激闘は0-1で終戦。2大会ぶりの準決勝に挑んだ日本は、またしても敗退に追い込まれた。
この試合の前、先発メンバーが発表された際に選手リストを見て驚いた。ついに三笘薫がベンチ外となったのである。
川崎フロンターレの一員として参加したAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のウズベキスタン遠征で右太ももを痛めて帰国した三笘は、別メニュー調整が続いていた。それでも東京五輪初戦のU-24南アフリカ代表戦前には、本人曰く「60〜75%」の状態まで戻っていたという。
そして、グループステージ第2戦のU-24メキシコ代表戦に終盤から途中出場。本来の姿には程遠いプレーぶりではあったが、無事に戦列復帰を果たしていた。
その後も森保一監督は三笘を継続的にベンチ入りさせてはいた。準々決勝のU-24ニュージーランド代表戦も終盤からの途中出場で、決してインパクトを残せてたとは言えない。ここまで2試合40分間のプレーにとどまっている。それでもメダルを賭けた戦いのどこかで“ラストピース”になってくれることを期待していたのだろう。
だが、道は絶たれた。三笘はスペイン戦でベンチ外となり、メダルを賭けた戦いに挑む権利を与えられなかった。指揮官もなかなか上向かないコンディションと戻ってこないプレーの切れ味を懸念したのだろう。
三笘は準々決勝のニュージーランド戦について「自分の特徴を出すことがなかなかできなかったので、満足いくプレーはできなかったですし、得点を期待されて出ているので、結果を残せなくて悔しい思いはしています」と語っていた。
試合翌日の練習前には森保監督と2人で話す姿もあり、「いまのコンディションと、起用の仕方と、プレーの内容を(自分が)どう感じていて、外からはどう感じていたか」について意見を交わしたという。
だが、ニュージーランド戦がラストチャンスになってしまった。「自分は少ない時間でも特徴を出せるプレーヤーだと思っていた」と、これまでのプレーと現在の調子の間にできていたギャップを埋められないままだった。
「シンプルに、自分自身に少し迷いがあったり、普段のプレーと少し違うところが出たり、頭のところとフィジカル的なコンディションが自分自身が知っている100%に達せていないなと思います」
出せるはずのプレーと、出したいプレーと、出せるプレー。頭と心と身体のバランスが狂ったまま、どんどんと不振の深みにハマっていってしまった。ピッチに立ってもどこか後ろ向きなプレーが目立ち、取材時もなかなか前向きな言葉が出てこなくなっていった。
そして、三笘を活用できなかったことが他の選手の起用にも影響を及ぼしてしまった。準決勝のスペイン戦、延長戦に入ってからどんどんと攻撃的な交代カードを切りたかったところだが、4人の交代を終えた後の日本のベンチに残っていたのはDFが2人とGKが1人だけ。
その前の段階でも久保建英や堂安律に疲労が見える状況で、代わりとなる選手を十分に送りこめなかった。本来は最前線のストライカーとして起用したかった前田大然をサイドで使わざるをえなくなったのも、スペイン優勢の展開を考えれば痛手だった。
森保監督は信頼してギリギリまで復調を待ったが、三笘という“ラストピース”がハマりきらなかったことで、チームには少なからず歪みが生まれていた。Jリーグでの爆発的な活躍ぶりから期待が大きかっただけに、結果として残った失望も大きい。
(取材・文:舩木渉)
【了】