U-24日本代表は28日、東京五輪(東京オリンピック)男子サッカー・グループステージ第3節でU-24フランス代表と対戦し、4-0で勝利している。6月に負傷し、上田綺世はグループステージ突破がかかる第3戦で先発起用され、ゴールに絡む活躍を見せた。ケガで出遅れたものの、「絶対的FW」と位置付けられる上田は輝きを放っている。(取材・文:元川悦子)
ケガで出遅れた男の「責任」
東京五輪グループリーグ突破のかかった28日の第3戦・U-24フランス代表戦。U-24日本代表の森保一監督はU-24南アフリカ代表、U-24メキシコ代表との2戦で奮闘した林大地をベンチ外にし、足の付け根付近の肉離れから復活した上田綺世を1トップに抜擢した。
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「(6月23日の)大分トリニータ戦を前にケガをして、リハビリして本大会に合わせようという話をもらった時からそこに向かってきた。焦りはなかった」と言う彼だが、ケガが完全に癒える保証はなかった。
実際、日本がU-24ホンジュラス代表、U-24スペイン代表と直前テストマッチを消化していた頃はまだ体が重く、フィジカル的にフィットしていない様子だった。昨年からケガを繰り返している選手だけに、再発の恐れも否定できなかった。本人も一抹の不安を抱えていただろう。
それでも、森保監督の彼に対する信頼は揺らがなかった。22日の初戦で後半27分、メキシコ戦の後半34分から投入し、本番の強度に慣れさせたうえで、この日の先発起用に踏み切ったのだ。
「僕はこのチームの活動が一番長いですし、今の立場や求められていることに責任がある。それを自分なりに理解して表現できればいい」と本人も語っていたが、3年半積み上げてきた覚悟と闘争心を持って、勝負の懸かる一戦のピッチに立ったのだ。
強い意欲は序盤から如実に出ていた。上田は前線から積極的にプレスに行き、守備のスイッチを入れる。そして攻撃に転じると前線で屈強なDF陣に体を預けたり、駆け引きしながらスペースに侵入。久保建英や堂安律と近い距離で連携しようという意識も押し出した。
前半20分には中山雄太の浮き球のクロスを胸トラップし、左足を一閃。これは相手に当たって外に出たものの、スピーディーなアクションでフィニッシュまでスムーズに持ち込めた。「FWはチームを勝たせるのが仕事」と口癖のように言う点取り屋の本領発揮が発揮されつつあったのだ。