【写真:Getty Images】
数々のトラブルに見舞われている東京五輪は、まもなく何とか開幕にこぎつけようとしている。
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サッカーの男子日本代表(U-24日本代表)は24日のU-24南アフリカ代表戦がグループステージ開幕戦となる予定だ。
しかし、その重要な一戦を前に対戦相手となるU-24南アフリカ代表には選手2人を含む3人の新型コロナウイルス陽性者が発生。チーム内に濃厚接触者が21人いることも判明し、一部報道では試合開催を危ぶむ声もあがっている。
実際は試合開始6時間前のPCR検査で陰性が確認されれば、ピッチに立つことが可能。現時点でU-24日本代表との一戦は予定通り開催される見込みとなっている。では、実際にピッチ上で“濃厚接触者”と対峙する可能性がある日本の選手たちは、一連の報道などを受けて現状をどのように受け止めているのだろうか。
オーバーエイジ選手としてU-24日本代表に加わっているDF酒井宏樹は「実際にプレーができる、試合はできると思うので、ただただ向こうが用意してきた相手を戦うだけ。僕らはそれだけの準備をしたいと思います」と語った。
他の選手たちの話を聞いていても、南アフリカ戦の開催に不安を抱えている様子はない。相手の状況がどうであろうと全力で立ち向かっていく姿勢に変わりはないようだ。
MF遠藤航は「そういう(新型コロナウイルス陽性者が発生する)こともあるのは正直、大会が開催される前から予想できたこと。このタイミングでこうなったか、と。無事に(試合が)開催されることを祈っていますし、僕らにできるのは試合があると思って最大限の準備をすることだけだと思っています。そんなにニュースに惑わされず、自分たちのできることをしっかりやることが大事だと思っています」と述べた。
そのうえで「正直、試合をした中で感染している前例はあまり聞いたことがないし、ほぼないと思っています。そこの心配は個人的にはしていないし、そういうルールに僕らがとやかくいうことはない」とも語った。「せっかくの五輪なので南アフリカと試合がしたいと思っていますし、無事に陰性が確認されて試合ができることを祈っています」という言葉が、遠藤の本心だ。そして、周りの選手たちも「そんなに気にしている様子ではなかった」と証言する。
オーバーエイジ以外の若い選手たちも、酒井や遠藤と同じような言葉を口にしていた。
GK谷晃生は「僕たちはどの相手、誰がきても自分たちの戦いをするだけですし、別に相手がどうこうというのは全く関係ないです。そういう情報にあまり気を取られすぎず、僕たちがやることをやるだけだと思います」と、目前に迫った初戦に向けて気を引き締めている。
Jリーグでは新型コロナウイルスの濃厚接触者であると判定された場合、チームから隔離されて試合に出場することができなくなる。そのため南アフリカ戦のように濃厚接触者と同じピッチに立ってプレーする可能性は低い状況だった。
東京五輪では濃厚接触者でも直前の検査結果しだいでピッチ試合に出場できるルールになっているが、鹿島アントラーズに所属するDF町田浩樹は「怖さは特にないですね。どういう状況であれ開催できるのが一番大事だと思うし、選手としてプレーしたい気持ちが一番強い。どんな状況であれ試合をちゃんと終えることができればいいかなと思います」と語った。
U-24南アフリカ代表が試合開催に必要な13人の選手を揃えられなければ不戦敗扱いとなり、3-0で日本の勝利として処理される。ただ、後々の試合を考えると「3点分」の得失点差が絶対に有利に働くとは言い切れない。
選手たちが試合開催を願うのは、濃厚接触者とのプレーに不安がないからではなく、自分たちの望む結果を手に入れる可能性を高めるためでもあるだろう。
5年前のリオデジャネイロ五輪では、初戦の直前に対戦相手のU-23ナイジェリア代表が航空便の遅れで会場に予定通り到着できず、試合開催も危ぶまれるトラブルがあった。
当時の緊張感をキャプテンとして経験していた遠藤は「(今大会も)まさか同じような状況になるとは思わなかったですけど、個人的にはその経験を生かせるし、僕が経験している分、周りに伝えられるのはポジティブ」と、前向きだった。
果たしてU-24南アフリカ代表は試合開催の準備を整えることができるだろうか。U-24日本代表の東京五輪初戦は22日の20時キックオフ予定となっている。
(取材・文:舩木渉)
【了】