ビラノバのままでいいのか
5月1日、カンプ・ノウでプレーしていたのは“バルセロナ”ではなかった。この試合のバルセロナのボールポゼッション率は58%。通常、70%近くを記録するバルセロナにとってはかなり低い数字だ。数字以上にサッカーの内容は良くなかった。
ボールホルダーに対するサポートの動きは皆無で、苦し紛れにサイドに逃げては雑なクロスを放り込む。攻守の切り替えは遅く、バイエルン相手にカウンターを簡単に許してしまう。バルセロナの奇跡を期待した人たちは失望感だけを味わっただろう。
グアルディオラ監督の就任以来、圧倒的なボール保持率をベースにしたポゼッションサッカーで頂点を保ってきたチームに変革のときが訪れている。来シーズン、バルセロナが這い上がるためには何が必要なのだろうか――。
まず考えるべきは「ビラノバのままでいいのか?」だ。
ビラノバはグアルディオラのチームを引き継ぎ、スタメンを固定して戦った。その結果、チームというよりも個の力に依存する傾向が強まり、特定の選手がいなくなったときにサッカーの質が変わる要因となった。
采配面でもグアルディオラは3バックを試したり、ポジションを入れ替えたりして刺激を与えてきたが、ビラノバは基本的に同じシステムで戦うため、マンネリ化を招き、対戦相手に対策されやすくなった。
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