【写真:田中伸弥】
キリンチャレンジカップ2021が12日に行われ、U-24日本代表はU-24ホンジュラス代表と対戦して3-1で勝利を収めた。
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前半はほぼ完璧な試合運びだった。13分にDF吉田麻也が先制点を奪い、40分にはMF堂安律が加点。一方で守ってはホンジュラスに1本もシュートを打たせず、完勝ムードが漂っていた。
しかし、後半に入ると日本は大失速。全体的に運動量が落ち、選手間の距離が徐々に離れていくと個々のミスも増え、連動性も下がっていく。そして65分にカウンターから失点し、ピッチ上は重苦しい雰囲気になっていった。
先発フル出場したDF冨安健洋は「後半に入ってかなりミスが増えましたし、奪った後のボールをつなげないことが多くなって、押し込まれる展開が多くなりました」と試合を振り返った。やはり後半の試合運びの拙さは悔やまれる点だ。
前半は「上手くいっていて、縦パスが入ってシュートまでいっていた」が、後半は「縦パスが入ってそこからボールを失って、カウンターを受ける回数が多くなった」と、日本の攻撃の狙いが逆にピンチを招く要因にもなっていた。
一度相手からボールを奪っても、簡単なミスで失い、相手の攻撃回数が増える。するとホンジュラスに押し込まれる時間帯も長くなり、後半は明らかに劣勢に。冨安は「ボールを奪って足が止まっちゃっている感は全体的にあったかなと思います。なので、ボールを奪って、つなげて、マイボールの時間を増やすというところまでしっかりとやらないといけない」と語る。
森保一監督は試合前の記者会見で「守備でボールを奪った時点で、できるだけ相手ゴールに向かってプレーするということを、パスの受け手も出し手もしっかり意識すること。縦に速くプレーすることは優先順位の第一に持っておかなければいけない」と、直線的にゴールへ向かっていくことの重要性を説いていた。
選手たちには、奪ったボールをできるだけ早く相手のゴール前まで運ぶという意識があったはず。だが、コンディション的に厳しくなった後半は、できるだけボールをキープしたい後ろの選手たちと、何としてでもチャンスの数を増やしたい前の選手たちの間に意識の齟齬が生まれているようだった。
「前半は上手くいっていて、縦パスが入ってシュートまでいっていたんですけど、後半は縦パスが入ってそこからボールを失ってカウンターを受ける回数が多くなった。縦パスが入っていけるとしても、ちょっと待ってボランチに下げたりだとか、あとはサイドに深くに押し込んで、そこから相手陣内でボールを回さないときついなと思いました」
冨安は時間帯や展開に応じたチーム全体の意思統一を図ることの重要性を認識している。彼の感覚では「今日はたまたま勝てた、というような感じ」であり、「上手くゲームをコントロールしないと、自分たちを苦しめることになる」と強く認識している。
試合前の会見で「オリンピックはもっと暑い中で戦わなければいけないので、無駄な体力ロスはない方がいい」と語っていた森保監督は、一方で「暑いから単純に体力を温存して戦うのではなく、やはりアグレッシブに戦う、チャレンジすることを大前提に持ちながら、試合をコントロールできる状況になった時にはコントロールしていくこと」と本大会のキーポイントにも言及していた。
追いかける展開ならどんどん前に出ていかねばならないが、リードしている状況で体力的に厳しくなってきた時にチーム全体としてどう振る舞うか。指揮官の言葉を借りれば「相手にとって嫌なことをして、したたかに戦って」、そのうえでいかに試合全体を主体的にコントロールしていくかという課題が、U-24日本代表に突きつけられた。
(取材・文:舩木渉)
【了】