若くして才能を披露して高く評価された選手が、そのままスター選手として活躍し続ける保証はない。怪我やプレッシャーに苦しみコンディションを落とす選手がいれば、ピッチ外での問題で活躍の場を失っていく選手も多い。今回は大きな期待を背負いながらも、大舞台から姿を消したアフリカ人選手を紹介する。
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【写真:Getty Images】
MF:エリック・ジェンバ=ジェンバ(カメルーン)
現所属クラブ:ヴァロルブ=バレーグ(スイス5部相当)
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エリック・ジェンバ=ジェンバ。この実に覚えやすい名前を持つカメルーン人MFは、マンチェスター・ユナイテッドというクラブにその名を残す選手である。ただそれは、ポール・スコールズやライアン・ギグス、ウェイン・ルーニーといった偉大なレジェンドたちと肩を並べるほど、決して華やかなものではない。
ナントで頭角を現したジェンバ=ジェンバは「とびきりの逸材」というわけではなかったが、31歳とベテランの域にいた主将ロイ・キーンの後継者としての確かな期待を受け、2003年に22歳でユナイテッドに加入した。デビュー戦となったFAコミュニティ・シールドのアーセナル戦ではアーセン・ヴェンゲル監督から苦言を呈されるほどアグレッシブなプレーをみせ、プレミアリーグでも順調なスタートを切るなど、インパクトを与えていた。
しかし、それも最初だけ。シーズンが進むにつれプレータイムは短くなり、キーンの後継者になどまったくなれなかった。結局、期待された若手MFはわずか1年半でユナイテッドを退団。現在では「サー・アレックス・ファーガソン体制のワースト補強」に必ずと言っていいほどジェンバ=ジェンバの名前が挙がるようになっており、ファーガソン本人も後に獲得を後悔するようなコメントを残している。それだけ期待値が大きかったということでもあるが、カメルーン代表MFはある意味でクラブ史に名を残してしまうこととなった。
ユナイテッドの歴史に泥を塗ってしまったジェンバ=ジェンバはその後、所属クラブを転々としている。イングランド国内はもちろんのこと、カタールやインド、インドネシアと欧州外でのプレーも経験した。そして2016年からはヴァロルブ=バレーグという、スイス5部にあたるリーグに所属するアマチュアチームに在籍している。ちなみに、ジェンバ=ジェンバは古巣に対し不満などは抱いていないようで、昨年『ザ・サン』が行ったインタビューで「もし今日、人生を変えて何か違うことをすることができると言われても、僕はしないだろうね」とコメント。さらに「ユナイテッド、そして、ファーガソン個人が私の人生を変えてくれた」とも話している。
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