若くして才能を披露して高く評価された選手が、そのままスター選手として活躍し続ける保証はない。怪我やプレッシャーに苦しみコンディションを落とす選手がいれば、ピッチ外での問題で活躍の場を失っていく選手も多い。今回は大きな期待を背負いながらも、大舞台から姿を消したオランダ人選手を紹介する。
アンリ2世とも言われたが…
【写真:Getty Images】
FW:ルク・カスタイニョス
現所属クラブ:OFIクレタ(ギリシャ1部)
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2009年に行われたUEFA U-17選手権で得点王に輝いた当時16歳のルク・カスタイニョスは、瞬く間にビッグクラブ注目の的となった。それでも下部組織時代から過ごすフェイエノールトに留まりトップチームデビューを果たすと、2010/11シーズンに爆発。リーグ開幕から11試合無得点とスタートは厳しかったが、第12節の初ゴールを皮切りに勢いが加速し最終的に15得点を挙げたのだ。その活躍もあり、スタイルが似ていたことから「アンリ2世」とも言われた男は、2011年にインテルの一員となった。
しかし、ビッグクラブ挑戦は早すぎたのかもしれない。カスタイニョスは後に「一人は一歩を踏み出して不運に見舞われ、もう一人はその一歩を踏み出して幸運に恵まれ、世界のトップに立つことができる」と話していたが、同選手は前者だった。イタリアではまったくと言っていいほど出番を与えられず、サポーターの記憶にはほとんど残らなかったのだ。そしてインテル加入からわずか1年で、カスタイニョスは母国オランダに戻ることになった。
一瞬にして欧州トップの舞台から消えてしまった男は、インテル退団後トゥエンテで3シーズン過ごし、2015年にフランクフルトへ移籍して海外再挑戦するも失敗。以降スポルティングCP、フィテッセ、韓国の慶南FCに活躍の場を求めるも、いずれもチームに定着するには至らなかった。
そのカスタイニョスは今年1月、過去にジェンナーロ・ガットゥーゾ監督が率いたことで知られるギリシャ1部のOFIクレタに加入している。しかし、同選手加入後チームは泥沼のリーグ8連敗(カスタイニョス加入前を合わせると10連敗)を喫することに。プレーアウトの結果クレタは何とか残留することにはなったが、カスタイニョスは同7試合でわずか出場2試合のみと、戦力になりきることができていなかった。かつてアンリ2世と呼ばれた男は、完全に輝きを失ってしまっている。
【了】