【写真:Getty Images】
日本代表には31日から国内組の選手も合流し、6月シリーズの4試合に向けた活動が本格的にスタートする。
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週末にJリーグでの試合を終えてチームに合流した選手たちのなかから、31日のオンライン取材にはセレッソ大阪所属のMF坂元達裕が登場した。
2020年に加入したセレッソ大阪で大きなインパクトを残し、2021年3月に日本代表初招集。しかし、坂元は直前の負傷で招集を辞退することになり、大きなチャンスを逃してしまった。「前回直前で怪我をしてしまって、悔しい思いをしてしまった」と語る24歳のウィンガーは、今回の合宿で満を持しての日本代表合宿初参加だ。
「今回はしっかりと結果を残してチームに貢献できるような活躍をしたい」と、並々ならぬ意気込みでチームに合流している。
直接のライバルになるのは、右ウィングのポジションで抜群の存在感を放っているMF伊東純也だろう。利き足も含めて特徴は違うが、坂元は「伊東純也さんはスピードがある選手で、縦にどんどん抜けていくプレーが多く、自分にもそういうプレーが求められる」と日本代表で与えられる役割を明確にイメージしている。
ただ、伊東と同じプレーをしていても立場を逆転させることはできないことも確か。「少し高い位置でボールを受けながら、ドリブルで仕掛けていったり、中に切れ込んでのクロスであったり、シュートであったり、よりゴールに近い位置で自分の良さを出していくことが大事」と、坂元は左利きという特徴を生かしたプレーの幅の広さでもアピールしていくつもりだ。
1996年生まれの坂元は、これまで世代別代表などへの選出歴が一度もない。FC東京U-15むさし出身だが、同クラブのU-18に昇格できず、前橋育英高校へ進学。高校3年生の時に全国高校サッカー選手権で準優勝を経験し、東洋大学を経て2019年からモンテディオ山形に加入した。
大学時代もユニバーシアード代表などには選ばれていない。子どもの頃から目指していたプロサッカー選手になることも諦めかけた状況から這い上がり、大卒3年目で日本代表まで上り詰めた。
「小さい頃にプロを目指し始めてから、周りに自分より上手い選手がたくさんいるなかで、自分は世代別代表にも手が届くような存在ではなかったし、挫折もたくさんしてきました。プロの世界にに入れるかどうかわからない時期もあったので、こうやってここ(日本代表)までチャレンジする場を与えてもらったのはすごく嬉しいですし、そのうえで這い上がってきたからこそ、代表の舞台で自分が結果を残して、くすぶっているいろいろな若い選手たちに希望や夢を与えられると思う。自分はしっかりとここで活躍して結果を残したいと思っています」
前橋育英高校時代の同期には浦和レッズの小泉佳穂や、他にも北海道コンサドーレ札幌に所属する岡村大八、徳島ヴォルティスの鈴木徳真、FC東京の渡辺凌磨などJリーグで活躍している選手が多くいる。その中で最初に日本代表まで到達した坂元は、“雑草魂”で生き残りをかけた競争に身を投じる。
「日本代表は誰もが憧れますし、自分も小さい頃から漠然となりたいと思っていました。でも、なかなか現実的な道まで来るのに時間がかかって、やっとこうしてチャンスをもらえたのは本当に嬉しいこと。結果を残して(日本代表に)定着していかないと意味がないと思うので、しっかりと自分の良さを出して、結果を残して、絶対的な選手になれるようチャレンジしていきたいと思っています」
海外組が中心となっている日本代表で、国内組の選手に与えられるチャンスはそう多くない。9月から始まるカタールワールドカップのアジア最終予選を見据えても、坂元の猛アピールと競争の活性化に期待したいところだ。
(取材・文:舩木渉)
【了】