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【連載】サッカー近未来小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』<第九話>ライバル・インテルクルービとのダービーに完敗。痺れをきらしたサポーターによる抗議行動が発生、社長としての真価が問われる群青は……

“従来にないサッカー近未来小説を世に送り出す”という新連載プロジェクトの第九話。
監督から選手登録のオファーを受けた群青は、練習生としてチームに合流。現役としてまだ動ける感覚を得るが、社長という立場との両立に自信を持てず、その決断ができない。そんななか、銀星倶楽部はホームで迎えたインテルクルービとのダービーに完敗。痺れをきらした一部のサポーターが抗議行動を起こし、選手バスを取り囲む事態になる。そして連敗が止まらず、ファン離れも激しいクラブ状況に、群青は監査役と松重から近々、整理縮小の検討に入るという通達を受ける……

前回までのあらすじ

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Illustration by Katsura TAKADA

 パラグアイのクラブ「リベルタ」に所属する日本人サッカー選手「群青叶(ぐんじょう・かなえ)」は、南米大陸二大カップ戦のひとつ、コパ・スダメリカーナ遠征に参加。コロンビア西岸の都市カリにてベスト8進出をかけた決勝ラウンドに臨んだ。この試合でPKを外し、サッカー賭博に大番狂わせの結果を招いた群青は、大量の資金流出を余儀なくされた麻薬密売組織の怒りを買い拉致されるが、東京のプロサッカークラブ「銀星倶楽部」常務、松重崇(まつしげ・たかし)によって救い出され、帰国する。

「銀星倶楽部」オーナー上水流領(かみずる・かなめ)の死後、群青は同クラブの社長に就任。経営危機に揺れるクラブの再建に乗り出した。
 しかしカジミエシュ・チェシュラック監督の更迭とライバルであるインテルクルービによる彼の「強奪」、銀星倶楽部の女子部にあたるGEKKOコンピュータシステムサッカー部の解散とそれを批難するキャプテン栢本里昴(かやもと・りよん)の出現、インテルクルービへのスタジアムの優先使用権譲渡など、いくつもの予期せぬ出来事にさらされ、新米社長の群青はうろたえるばかり。リーグの会合ではインテルクルービのオーナー神足一歩(こうたり・かずほ)の正論に圧倒され、非力さを痛感する。

 問題解決を迫られる群青は、三軒茶屋で地元の愚連隊を取り仕切る男にしてスーパーマーケットチェーンの経営者、山田(やまだ)とミダイの協力により、女子部全員の就職先と新たなホームスタジアムの確保に成功する。そのミダイが過去にけがを負わせたことを里昴の盟友・蓮田(はすだ)チカに謝罪すべく訪れた練習場で、チカと外国人の少女タチアナがとっくみあいの喧嘩を始めてしまう。インテルクルービとまちがえて銀星倶楽部の練習にやってきたタチアナとともにサッカーをしようという里昴の配慮が招いた事態を、群青はからだを張り収拾する。

 タチアナたちを迎えに訪れたインテルクルービの専務であり腹違いの姉である上水流奏(かみずる・かなで)から、銀星倶楽部強化部長の柳川(やながわ)が選手の移籍に際して不当に利益を得ていたことを知らされた群青は、ふたりで成田空港へ。出国寸前の柳川を捕まえることに成功するが、その代償に選手獲得ルートを失ってしまった。
 貧弱な戦力を新任の監督老松尚之(おいまつ・なおゆき)はまとめきれず、新シーズンの開幕戦を落とし、不穏な空気が漂い始める。

 トップチームに緊張が走る一方、女子部は消滅しかけていたもう一チームとの合体により存続、融合がうまくいっているかに見えた。しかし差別を含む人間関係の悪化で里昴が山田の店を退職すると、本人は落ち込み周囲にも動揺が走る。この非常時に群青は女子部の副キャプテン琴川桜花(ことがわ・おうか)と示し合わせ、里昴の気持ちを落ち着かせることに成功する。そして新しい職場として銀星倶楽部事務所アルバイトの口を提供すると、ようやく里昴に笑顔が戻った。

 だが、苦難を経てより結束を強めた女子部と対照的に、トップチームは完全に崩壊。一引き分けを挟む一一連敗を喫し、群青は老松を更迭した。
 コネクションがない状態で新監督探しに乗り出した群青は、都リーグの会場で社会人チームの指揮を執るひとりのユニークな男を発見する。試合後に本人から名前を聞き出して調べると、四年前に暴力事件を起こしてサッカー界から離れていた元プロ監督、木瀬正親(きせ・まさちか)であることがわかった。
 監督就任を要請する群青に対し、木瀬は「どれだけ負けても解任するな」と要求する。それは責任逃れと失職対策ではなく、クラブの価値観を築くうえで必要なことだった。群青は木瀬を守りぬく覚悟を固め、新監督に据えることを決めた。

 木瀬の許で再出発を図った銀星倶楽部トップチーム。内容は向上するが、それがすぐ結果に反映されるわけではない。今シーズンの銀星倶楽部が必勝祈願をしていないと知ると、山田はそれも弱体化の一因だという。オカルト論ではなく、日常の一つひとつを研ぎ澄ませている者が強いのだと。それは平均的な戦力でビッグクラブに対抗している鹿島N.W.O.にも言えることだった。彼らと銀星倶楽部とでは何から何までちがいすぎる。求められていないのなら存在する必要がないのではと悩む群青を、里昴はホームゲームごとに通うおばあさんを例に挙げ、ごくわずかなファンを満足させられないのなら先はない、インテルクルービに負けるな――と励ます。
 しかし現実に連敗は止まらず、ますます窮地に追い込まれていく。切羽詰まった状況で、木瀬は群青に対し、現役復帰を要請した。

続きは、サッカー近未来小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』特設サイトで。

エンダーズ・デッドリードライヴ

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