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南野拓実が生き残る術。プレミアリーグでも通用する3つの武器、攻撃の「引き金」となったプレーとは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

プレミアリーグ第36節、サウサンプトン対フラムが現地時間15日に行われ、3-1でサウサンプトンが勝利した。南野拓実は2試合連続で先発出場し、チームは4日前のクリスタル・パレス戦に続いて3点を奪って勝利している。ゴールやアシストという結果こそないが、そのプレー内容はどうなのだろうか。(文:加藤健一)

サウサンプトンの理想とするカウンター

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【写真:Getty Images】

 南野拓実は前節に続いて先発で起用された。4-2-2-2の2列目右を任された南野は、立ち上がりからフルスロットルでプレーしている。

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 ハイプレスとカウンタープレスはサウサンプトンの信条である。立ち上がりはフラムがボールを持つ時間が長かったが、サウサンプトンの強度の高い守備はフラムに決定機を与えない。南野もその中の1人で、2トップに続く形でハイプレスを行い、プレスバックも抜かりなかった。

 16分にサウサンプトンのハイプレスが決まる。フラムのバックパスをチェ・アダムズがカットすると、南野は内側を走って裏を取った。アダムズからパスを受けた南野はフィニッシュまでつなげている。惜しくもシュートはブロックされたが、前線でボールを奪って攻撃を完結させるサウサンプトンらしい攻撃だった。

 35分にも再び前線でボールを奪い、南野が右サイドでボールを受ける。DFラインの前でダニー・イングスがボールを受けるが、ドリブルは止められてしまう。しかし、そこに南野が素早く反応してルーズボールを拾うと、相手の出した足がかかってFKを獲得した。ラルフ・ハーゼンヒュットル監督が理想とするようなカウンタープレスだった。

攻撃の引き金となったプレー

 サウサンプトンのビルドアップは左右非対称の動きを見せる。右サイドバックのカイル・ウォーカー=ピータースは高い位置でタッチライン際まで開くが、左のモハメド・サリスは最終ラインに残って3枚で回した。左の幅を取るのは2列目のネイサン・レドモンド。右はウォーカー・ピータースが幅を取っているので、南野は中央のライン間でボールを待っている。

 4分の場面、サウサンプトンはGKを使いながらボールを回していた。ジェームズ・ウォード=プラウズが最終ラインの右に落ちてボールを受けると、長いボールをDFラインの裏に通す。中盤にいた南野は、ウォード=プラウズがボールを受けると同時に縦にスプリント。ボールはGKにキャッチされたが、南野とウォード=プラウズの意思が重なった瞬間だった。

 後半に入ると、フラム陣内にスペースが生まれるようになってきた。GKのロングボールをスチュアート・アームストロング、アダムズとつなぎ、南野が前を向いた状態で受ける。倒されながらもつなぐと、ボールは左サイドのレドモンドに展開される。これはゴールにならなかったが、その直後にも南野がMFの間でボールを受けてつなぎ、ウォーカー=ピータースのグラウンダーのクロスにネイサン・テラが合わせて決めた。

 最終ラインの背後を取ってDFラインを後傾させ、ライン間のスペースを生み出す。さらに、中盤の間でボールを受けて中盤を収縮させる。幅を取る役目のウォーカー=ピータースやレドモンドに対しては相手のサイドバックが寄せるが、そうなればゴール前が手薄になる。南野は攻撃のトリガーとなっていた。

南野拓実が生き残る術

 ハイプレス、カウンタープレス、そして間受けからの展開。南野の良さは十分に出ていた。76分に下がったのは、4日前の試合でフル出場していたことも考慮されたのだろう。ゴールやアシストこそなかったが、その働きはポジティブなものだった。

 効果的なプレーを見せていただけに、ゴールやアシストという結果がついてこないのがもどかしい。データサイト『WhoScored』によれば、この日のシュートは前述した1本、ラストパスの本数も1本だった。

 リバプール時代も含めた今季の枠内シュート率は35%となっている。セオ・ウォルコットは38%、レドモンドは32%で、同ポジションの選手と比較しても見劣りしない。これまでは南野の問題というより、チームの問題の方が大きかった。この試合で南野に代わって入ったウォルコットが昨年12月以来となるゴールを決めたように、チームが復調したことで攻撃陣にも活気が戻ってきている。ここにきて、サウサンプトンは自分たちが求めていた適切なバランスを取り戻した。その中で、南野は重要な役割を担っている。

 相手に寄せられた際のボールキープや、シンプルな空中戦の競り合いでは分が悪い。しかし、どの選手にも長所と短所があり、その中で自らが生き残る術を見つけなければいけない。一朝一夕でウィークポイントは消せないが、南野の特長はこの試合に表れていた。

(文:加藤健一)

【了】

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