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東京五輪 4年前

久保建英がこの程度では…。不発だったU-24日本代表、10番・三好康児が指摘する世界基準との違い【コラム】

U-24日本代表は26日、SAISON CARD CUP 2021でU-24アルゼンチン代表と対戦し、U-24日本代表は0-1で敗れた。三笘薫、久保建英、三好康児の2列目トリオは不発。世界基準と戦った彼らには、何が足りなかったのだろうか。(文:元川悦子)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

アルゼンチンは「想像を上回った」

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【写真:Getty Images】

 宿敵を3-0で圧倒した25日のA代表の日韓戦に続き、東京五輪優勝候補と言われる強豪・U-24アルゼンチン代表相手に勝利がほしかったU-24日本代表。しかし、世界の壁は高かった。

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「アルゼンチンの強さは予測をしていたが、ピッチ内で体感している選手には、映像よりも速かったり、強かったり、切り替えが早かったり、そういうところが自分たちの想像を上回ったのかな」と横内昭展監督は語る。ピッチ上の選手たちは相手の球際の強さや駆け引き、行くところ引くところのメリハリの巧みさに戸惑った部分は否めなかった。

 象徴的だったのが、前半21分の失点場面。GK大迫敬介が蹴り出したボールを田川亨介ら前線が競り合い、久保建英がキープしかけたところで相手右サイドバックのエルナン・デラフエンテに引っかけられた。右MFフェルナンド・バレンスエラのロングパスがマティアス・バルガスへ通る。この10番は板倉滉との1対1をはがして折り返し、長身FWのアルフォド・ガイチが頭で押し込む形だった。

 彼らは前線のキープ役・久保を狙い、前が空いていると見るや、一発で前線へ。バルガスの打開力、ガイチの打点の高いヘッドという個の力を前面に押し出してゴールをこじ開けた。

「あそこは前線からプレスする中で、後ろをもう少しコンパクトにできれば抑えられた」と板倉は悔しがったが、1つ1つの判断や出足の部分で上回らないと強豪には勝てないことをまたも日本は痛感させられた。

川崎アカデミー出身3人衆は不発

 後半は善戦して盛り返したものの、最後の最後まで1点が遠かった。期待された三好康児・久保・三笘薫の「新2列目トリオ」も不発に終わった。

 序盤には右サイドの崩しから渡辺皓太がゴール前に飛び出す決定機を作り、前半17分には三笘が自慢のドリブル突破からチャンスを作った。しかし、川崎アカデミー出身3人衆の初共演で勝利という成果を得るには至らなかった。

「左の薫の特徴はチームの強み。もっと外を広く取らせてフリーな状態での1対1なら確実に勝てますし、それをうまく使うためにもチーム全体で幅を使うところを共有できればよかった」

 3人の中で最年長の三好は反省の弁を口にした。川崎アカデミー時代からともにプレーしてきた1学年下の後輩の特徴は嫌というほど分かっている。だからこそ、自分と久保がいい距離感で相手を引き付けながら、三笘をフリーにするような形を作りたかったのだろう。

 三笘は試合前に「自分はエースだとも思っていないですし、フロンターレの結果で評価されたと思っていて、素晴らしいチームメイトがいてのことなんで」と周りのサポートあってこその輝きだと強調していた。

 実際、流れが改善してきた後半にも、三笘が左の大外でフリーになっている場面が何度かあったものの、思うようにボールが出てこなかった。三笘はU-24日本代表で、まだそこまで連係や信頼関係は築けていないようだ。代表活動はクラブのように時間がなく、即興性が強く求められるだけに、迅速な意思疎通と関係強化が必要になってくる。

Jリーグのようにはいかない

 横内監督としても、彼のよさを最大限発揮させるべく、チームと同じ旗手怜央とのタテ関係で戦わせた。しかし、「薫と怜央は川崎で狭い中でも崩していくことには自信を持っているが、これだけレベルが高く、帰陣の早い相手だと崩していくのは難しい」と三好が指摘した通り、彼ら自身もJリーグ基準と世界基準のスイッチの切り替えをしなければならない。

 Jリーグなら緩急をつけながらの長短のドリブルで敵をキリキリ舞いさせられるのだが、老獪で屈強なアルゼンチンDFと対峙したら、そう簡単にはいかない。しかも相手も彼のことを分析し、複数マークで止めに来たのだから、ゴールに直結する仕事はできないはずだ。

 ただ、逆から見ると、自分が徹底マークを受けるということは、周囲が空いているということ。素早く逆サイドに展開したり、海外経験値の高い久保に預けてリズムを変えるなど、できることはいくつもある。三笘自身もプレーの幅を広げ、選択肢を増やしていくべきだ。賢い彼ならその重要性を再認識しているはず。まずは29日の第2戦に向けて修正を図っていく必要がある。

「三笘選手のプレーも三好選手のプレーも自分は結構、理解しているつもり。彼らが入ってきた時にはスペースをつぶさないように、逆に自分が外に開いたりとか、意図を汲んでプレーはしていた。結果としてあとは出していければいいのかな」と久保は前向きなコメントを残している。本当に次こそ結果を出さなければ、五輪本番では別の組み合わせがチョイスされることになりかねない。

久保建英は物足りない

 現に後半から登場した相馬勇紀は、得意のタテへの推進力を生かして守備ブロックを攻略していた。終盤に右MFに入った食野亮太郎もパンチ力あるシュートを放っている。さらに言うと、ケガで不参加となった堂安律という大駒も残っている。だからこそ、3人は危機感を持って次戦に挑むべきなのだ。

 A代表にも共通することだが、日本には最前線でゴールを量産できるロベルト・レバンドフスキやアーリング・ハーランドのような絶対的エースはいない。今回1トップに起用された田川亨介は体を張って起点を作り、成長の跡を示したものの、すぐに得点源になれるわけではない。それは今回ケガで選外になっている上田綺世や前田大然も同様だ。

 だからこそ、2列目の得点力が重要になってくる。ここまでA代表ノーゴールの久保、2019年コパ・アメリカ(南米選手権)ウルグアイ戦の2発以降、代表で結果を残していない三好にはより奮起が求められる。2020年の大ブレイクで三笘ばかりに注目が行きがちだが、代表経験豊富な海外組の2人がやるべきことは多い。

 特に世界に名前が知れ渡っている久保はこの程度では物足りない。周りをうまく生かしながら、自ら勝負を決定づける仕事をしなければならない。攻撃のけん引役として違いを見せつけ、アルゼンチンにリベンジを果たしてほしいものである。

(文:元川悦子)

【了】

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