優勝へ向け最も勢いにあるのは…
バルセロナなのかもしれない。現在のラ・リーガにおいて最も追い風を吹かせているのは、彼らなのかもしれない――。
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昨季のチャンピオンズリーグ(CL)でバイエルン・ミュンヘンに2-8と歴史的大敗を喫し、バルセロナは一つの時代の終わりを迎えた。そこからリオネル・メッシやジェラール・ピケら重鎮退団の噂が流れるなどクラブは大きく揺れたが、ロナルド・クーマン監督を招聘し、最終的に残留したメッシらと共に新たなスタートを切ることを決断している。
シーズン当初は不安定で、批判の声は少なからずあった。今季最初のエル・クラシコでは1-3と敗れ、リベンジを誓ったCLでもユベントスに敗北して2位通過と、力不足を露呈することも少なくなかった。
しかし、CLこそパリ・サンジェルマン(PSG)に大敗し敗退へと追い込まれたが、現在のバルセロナはそのショックを引きずることはなく、どこか活き活きとしている。ペドリやオスカル・ミンゲサ、イライシ・モリバら若手の台頭も理由の一つだろうが、チームとして今できることを精一杯に、それもより高いレベルでやり遂げている印象が強い。
シーズン当初はスローペースだったメッシも本来の姿に戻っている。とくに年明けの勢いは凄まじく、2021年のリーグ戦で得点とアシストを記録しなかった試合は一度もない。結果でしっかりとチームを牽引している。
そのメッシの復調も要因だろう、ここ最近のバルセロナは安定した結果を手に入れている。ラ・リーガでは第12節のカディス戦以来負けておらず、気づけば首位アトレティコ・マドリードとの差は4ポイントに縮まってきた。勢い的に最もラ・リーガ優勝の可能性があるのは、もしかするとバルセロナなのか。
新システムで各選手の能力が生きる
現地15日に行われたウエスカ戦は4-1の大勝だった。カウンターから不可解なPKを与えて失点してしまったのは勿体なかった(というより気の毒だった)が、ほとんどの時間帯でボールを支配している。とくに後半は、スローテンポになった中で単純なパスミスがちらほら見受けられたが、大きな問題はなかった。
クーマン監督はここ最近の試合で3バックシステムを用いている。セビージャ戦とオサスナ戦は3-4-1-2で、このウエスカ戦は3-4-2-1だ。
この新たなフォーメーションによって、バルセロナの各選手は持ち味を発揮しやすくなったと感じている。そしてそれが、柔軟な戦い方にも繋がっていると言えるだろう。
ウエスカ戦では、5-3-2の守備ブロックを組んだ相手に対し非凡なオフェンスセンスを持つメッシやアントワーヌ・グリーズマンのツーシャドーがライン間で怖さを示した。チームとしてディフェンスラインを高く設定し(失点シーンは前に人数を集め過ぎたが…)、そこにボールを持てる中盤底ペドリやセルヒオ・ブスケッツも絡むことで相手中盤の注意を引き付け、レフティー二人に空間を与えている。
攻撃力のあるジョルディ・アルバとセルジーニョ・デストの両ウイングバックが深さを取るランニングを行えば、相手のラインは必然的にさらに下がる。それにより中盤とディフェンスラインにギャップが生まれれば、メッシとグリーズマンが容赦なく突く。そこへボールは入れば、攻撃は自ずと加速した。
仮にダメだった場合は、最終ラインから万能型フレンキー・デ・ヨングが攻撃参加して厚みをもたらしている。これによりウエスカ側は各選手へのマークがハッキリせず、ややドタバタしていた。
引いた相手に対しては難しいかもしれないが、セビージャのように前へ出てくる相手にはウスマンヌ・デンベレの持ち味である快速が生きる。このように、相手の出方に対して柔軟に攻撃を活性化できるのは、今のバルセロナの強みと捉えていいだろう。
以前までのバルセロナは相手ゴール前で多くのパスを繋ぐだけの攻撃に終始することも少なくなかったが、現在は上記した通り豊富なパターンを試合の中で発揮することができているので、非常にワクワクする。CLも敗退し、リーグに集中できる今、バルセロナはタイトル奪還へ向け突き進む。
(文:小澤祐作)
【了】