チェルシーの狙い
90分感を終えたチェルシーは満足感と達成感に溢れていた。トーマス・トゥヘル監督は選手たちと力強いハグを交わし、ピッチ上で戦ったプレーヤー達の表情も自然と明るくなっている。今後に更なる希望が持てるような、そんな雰囲気がチーム全体に漂っていたと言えるだろう。
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チェルシーを率いるトゥヘル監督の戦い方は非常に明確だった。
ハイラインを敷き、なるべく自ゴールから離れたエリアでのボール奪取を狙ってきたリバプールに対し、チェルシーはショートパスを多く取り入れることなく、高い位置にある相手の最終ライン裏を突くことを徹底している。スピード自慢のヴェルナーやランニングの質が高いマウントの良さを最大限引き出すためのものだった。事実、この日チェルシーの支配率は46%しかない。
戦い方は非常にシンプルだが、これがリバプールに大きなダメージを与えていた。10分には左サイドからのロングフィードにヴェルナーが抜け出しフィニッシュ。23分にも1本の長いボールへ反応したドイツ人FWがチャンスを作っている。なお、23分の場面ではゴールネットを揺らしているが、非常に微妙なオフサイド判定でノーゴールとなっている。
そして42分、マウントの先制弾も上記のチャンスシーンと似た形から。自陣深くでボールを持ったカンテがロングフィードを繰り出し、マウントに左サイドのスペースを突かせる。そこでセンターバックの一角ファビーニョをつり出すことに成功し、背番号19が1対1を仕掛けることができた。
一方、ハイプレスを無力化され最終ライン裏を徹底して突かれたリバプールは、当然カウンターも高い位置で開始できず、苦戦。チェルシーは守備時5バックになって引くため攻撃時はある程度ボールを持つことができたが、ラスト30mでのクオリティーをことごとく欠いている。組織としてはもちろん、アンドレアス・クリステンセン、アントニオ・リュディガー、そしてセサル・アスピリクエタと個人のパフォーマンスもかなり際立っていたチェルシー守備陣を、現在のリバプールでは攻略することができなかった。
(文:小澤祐作)
【了】