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Jリーグ 4年前

浦和レッズに「ロドリゲス監督は合わない」。コンセプトマップが浮き彫りにしたJリーグ驚愕の真実とは?【データアナリストの眼力(1)】

3/8発売『フットボール批評issue31』から、最先端の戦術コンセプトを独自の分析で一枚の絵に表現してきた“異端のアナリスト”庄司悟氏の連載より、Jリーグ各クラブのコンセプトを浮き彫りにしてみせた「フットボールの主旋律」を発売に先駆けて一部抜粋して全3回で公開する。今回は第1回。(文:庄司悟)

真逆だった浦和と徳島。なぜ、ロドリゲス監督を招聘したのか?

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図9

 少々、熱っぽくなってしまった。実はこの座標軸、各クラブの監督のチョイスが合っているか、合っていないか、の指標としても大いに使える。例えばJ1のボール支配率(縦軸)×正味時間(横軸)で浦和レッズは左下のゾーンにいた。そこで浦和は今年から徳島のリカルド・ロドリゲスを新監督して招聘している。

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 では、徳島の位置はどうだったのか。浦和の位置とはかけ離れた右上のゾーンにいたではないか。確かにロドリゲス好みの選手を集めたとはいえ、浦和を右上のゾーンに持っていくのは並大抵のことではない。もし筆者が浦和の強化部にいたとすれば、「ロドリゲスは合わないのではないでしょうか?」と間違いなく進言する。

 一方で徳島はロドリゲスの後釜として同じスペイン人のダニエル・ポヤトスを迎えた。この人選には「J1でも同じスタイルで」といった一貫したコンセプトが感じられる。このように各クラブのファン、サポーターはこの座標軸を目安に、はたしてこの監督で合っているのか等々、ぜひ検証していただきたい。

名古屋グランパス、セレッソ大阪に覚える「違和感」とは?

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図13

 さて、続いての座標軸はシュート数(縦軸)×パス成功数(横軸)とした。J1(図13)の座標軸を見ると上位クラブで右上のゾーンにいるのはまたしても川崎だけ。3位名古屋、4位セレッソ大阪にいたっては左下のゾーンにいる。

 お互いシュート数が少なく、さらにパス成功数も少ないなかでこの順位。率直な感想が「この位置でどういった勝ち方をしているの?」となる。両クラブのコンセプトを想像するとすれば、流れの中からの得点よりも、セットプレーからの得点を重要視しているのでは? といった見立てができる。これも「違和感」によって想像力が掻き立てられる好例といっていい。

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図15

 J2(図14)を飛ばして、J3(図15)の座標軸に目を向けてもらおう。何と秋田はパス成功数が18チーム中最下位、シュート数も平均以下で断然の左となっている。前記した図8の失点率(縦軸)×得点率(横軸)の座標軸を思いだしてほしい。秋田は右上のゾーンにいたはずである。これでどうしてJ3をぶっちぎれたのだろうか。

 2つの座標軸から考えられるのは、つまり、失点が少ない=シュートは打たれない、シュート数が少ない=シュートを打てば入る、といった究極ともいえる効率的なフットボールを体現していた、ということだろう。

(文:庄司悟)

31号_表紙_05

『フットボール批評issue31』


≪書籍概要≫
定価:1650円(本体1500円+税)

究極の2021Jリーグアナリティクス

Jクラブにとってコンセプトの5文字はもしかしたらタブーワードなのかもしれない。クラブのコンセプトをひけらかすことは、すなわち“秘伝のレシピ”の流出を意味する。もちろん、これはコンセプトという壺にタレが脈々と継ぎ足されているクラブに限った話ではあるのだが……。
コンセプトを一般公開できないとなれば、こちら側が様々な手法を使って分析していくほかない。なぜ、コンセプトの解剖にこれほどまでに執着するのかと言えば、抽象的にJリーグを眺める時代は終わりにしたい、という願望からである。そう、本質の話をしよう、ということだ。
今回は2021年のJリーグをより具体的に俯瞰できるように、J1・J2・J3のコンセプトマップを筆頭とし、補強からGKのコンセプトまで本質を抉る企画を揃えた。この「究極のアナリティクス誌」を携えれば、コンセプトなき“あのクラブ”が手に取ってわかるはず、だ。

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【了】

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