見事だった守備時の対応力
グループステージで2試合を戦った経験からクロップ監督が得た見解は大きく2つあったと考えられる。1つはレアル・マドリーに対して高い位置からプレスをかけるのは“自殺行為”にも等しい、ということ。
もう1つは攻撃にあたり、少ない人数で攻め崩すのは難しいこと。それらを総合的に判断し、準決勝の再戦に向け導き出した解答が、中盤にゾーンの守備ブロックを築き、ボールを持てば何本かのパスを確実につないで高い位置に人数をかける戦い方だった。
ただ、単に守備ブロックを築くだけでは合間を鋭いドリブルやワンツーなどで切り裂かれかねない。そこでブロック内のボールサイドでは担当エリアの選手がマンツーマンで付き、後ろの選手がサポートすることで、ボール保持者と受け手の自由を封じた。
マドリーも左サイドでボールを持ったクリスティアーノ・ロナウドを左SBのコエントランが追い越すなど、マンツーマンをはがす動きを頻繁に行ったが、ドルトムントの選手たちが見事だったのは付き切るか、受け渡すかの判断と、それに応じた周囲のポジションチェンジだ。
例えばブロック内でロナウドを右SBのピシュチェク、コエントランをブラシュチコフスキがチェックしていても、コエントランがドリブルで前に出てくればそのまま付き、ピシュチェクと縦のポジションをチェンジする。
ランニングならピシュチェクに受け渡し、ブラシュチコフスキはロナウドを見る。そうした流れに応じてボランチのギュンドアンか、センターバックのスボティッチがサポートに入るが、その結果としてスボティッチがワイドに流れれば、ボランチのベンダーが一時的にセンターバックのポジションを埋めた。