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最下位相手にまさかの敗北
優勝争いのメインキャストとなったマンチェスター・ユナイテッドに、思わぬ落とし穴が待ち受けていた。前半戦を終えて勝ち点わずか5ポイント、最下位に沈むシェフィールド・ユナイテッド(ブレイズ)に競り負け。後半戦のスタートとなったこの1戦で相手に今季2勝目を献上し、首位の座をマンチェスター・シティに明け渡している。
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ボールを持ってもなかなかフィニッシュへとつなげられないユナイテッドを尻目に、23分にブレイズが先制する。ジョン・フレックが蹴ったインスイングのCKを、キーン・ブライアンが頭で合わせた。
1点ビハインドで試合を折り返したユナイテッドは、64分に追いつく。アレックス・テレスが蹴ったCKは、アウトスイングの軌道を描き、走りこんできたハリー・マグワイアが頭で合わせた。
勝ち点3を求めて前掛かりになるユナイテッドに生まれた一瞬の隙を、ブレイズは突いた。右サイドの高い位置でボールを持つと、ジョン・ランドストラムのグラウンダーのパスを受けたオリバー・バークが右足を振り抜く。ユナイテッドはエアポケットのように誰も寄せることができず、アレックス・トゥアンゼベに当たったシュートはゴールネットを揺らした。
マンUが抱える問題
両者の前回対戦は約1か月前、昨年12月17日に行われた。GKディーン・ヘンダーソンのミスからブレイズが先制したが、ユナイテッドが前半のうちに逆転に成功。ブレイズの反撃は及ばず、2-3でアウェイのユナイテッドが勝利している。
前回対戦と共通しているのは、ユナイテッドが2失点していることだ。リーグワーストの12得点のブレイズに対し、2試合で4失点を献上。今季のブレイズが複数得点を挙げたのはユナイテッドとの2試合のみだという。
ブレイズ戦は2試合ともにCKから失点を許した。格下との対戦では押し込む展開が多くなり、ピンチは必然的に少なくなる。力が劣る相手が勝機を見出すとしたらカウンターかセットプレーになることが多い。
そして、ユナイテッドはセットプレーの守備に問題を抱えている。データサイト『WhoScored.com』による集計では、今季のセットプレーからの失点数は8で、失点を占める割合は29.6%。ともにリーグで5番目に多い数字となっている。
得点源にもなるハリー・マグワイアをはじめ、ポール・ポグバやネマニャ・マティッチといった長身選手も多く、ミスマッチを引き起こすような選手も少ない。この日のメンバーを見ても決して負けるようなマッチアップではなかっただけに、戦術的な問題を抱えていると言わざるを得ない。
過去を振り返っても、優勝したチームはセットプレーからの失点が少ない。昨季のリバプールは7失点、連覇したシティは平均5.5失点で、16/17シーズンのチェルシーも7失点だった。
今季のユナイテッドは、直近4シーズンの優勝チームがマークした失点数を早くも上回ってしまった。悲願のリーグタイトル奪回を成し遂げるためには、セットプレーにおける守備の整備は必要不可欠だろう。
貧弱だったマンUの守備
アントニー・マルシャルのパフォーマンスを指摘する声も多いが、オーレ・グンナー・スールシャール監督は「今日はチーム全体が批判されるべきだと思う。自分も含めてね」と振り返る。この試合に関してはマルシャルだけでなく、チーム全体として問題を抱えていた。
また、失点シーンについて、指揮官は強い言葉で非難している。
「我々が許した2つ目の失点はあまりにも貧弱だった。とてもずさんだ。簡単にボールを失ってしまった」
この場面でユナイテッドはブレイズの攻撃を自陣で防いだが、ボールをクリアすることもつなぐこともできずに明け渡してしまった。前掛かりになることで意識が攻撃に傾き、一瞬隙が生まれていたようにも見えた。
好調なチームゆえの慢心なのかはこの試合だけでは判断できない。リバプールとの2試合はともに好ゲームで、フラム戦のようにパーフェクトな内容でなくても勝ち点3を持って帰れる。勝負強さのようなものも最近は垣間見えるようになってきた。
次なる相手はアーセナル。苦しい前半戦を過ごしたが、クリスマス以降は5勝1分でトップ4争いに食い込もうとしている。11月の前回対戦でユナイテッドは1-0で敗れているだけに、ダブル献上(2敗)は許されない。
群雄割拠の今シーズンは2試合連続で勝ち点3を逃せば、たちまち順位を大きく落としてしまう厳しいシーズンだ。セットプレーという弱点を克服して勝ち点3を得られるか。アーセナル戦は前半戦最初の正念場となるだろう。
(文:加藤健一)
【了】