「相手2人以上を困らせよう」
巷で『ポジショナルプレー』と呼ばれているものについて、私の解釈を述べさせてもらうとすれば、それは『スペースを支配する』ということだと考えています。そして、攻撃において『スペースを支配する』ために絶対的に必要になってくるのが《良い立ち位置を取る》ということです。
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どのように相手ゴールに迫るのかを考えたとき、《良い立ち位置》は必要不可欠です。それは個人レベルの《良い立ち位置》だけではなく、視野を広げて11人のチームに照らし合わせたとき、チーム全体の利益を踏まえた上での《良い立ち位置》であり、それを取り続けることで『スペースを支配する』ことを『ポジショナルプレー』と呼ぶのではないかと考えています。
では、《良い立ち位置》とは具体的に何を示すのか。私は特に攻撃の大前提として、「相手2人以上を困らせよう」と選手に伝えてきました。1人の立ち位置で、相手2人を困らせる。あるいは3人、4人を困らせる。そういう立ち位置を取りましょうと。
「相手2人を困らせる立ち位置を取る」
最終ラインを破るシーンを例にあげます。相手DFの中間に立ち、そこから相手の背後へ飛び出して行く方向が良ければ、相手DFはどちらが付くべきか迷い、同時に2人が困ることになります。1人に対して2人が困れば、ほかの場所が空くわけですから、個人がその立ち位置を意識して取れば、間違いなくチームの利益になります。
逆に立ち位置によっては、「そこで受けられても別に怖くない」といった相手DFがまったく困らないケースもあります。自分がボールを受けやすくても、相手が困らなければチームの利益にならず、それは《良い立ち位置》とは言えません。
最終目標は相手ゴールに迫り、得点を奪うことです。私はそのための作業として、「相手2人を困らせる立ち位置を取る」という原則を元にこの戦術を落とし込んできました。
(文:渡邉晋)
【了】