アルテタが徹底するもの
ダヴィド・ルイスはボールを自ら持ち運ぶという「現代的なセンターバック」に求められる役割を見事に果たしている。このプレーにおいて、重要なのは単にボールを運んだことではない。ティアニーのマークについていたスターリングを前に誘い出し、彼が縦パスを狙う時間を作ったことだ。その前進がクリーンだったからこそ、次のプレーにスムーズに移行することが可能となった。
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グアルディオラの師として知られるフアン・マヌエル・リージョは「最初の前進がクリーンに成功すれば、全てが簡単になる」と述べている。
実際にアルテタは、アーセナル就任後に徹底してボールをクリーンに前進させるトレーニングを続けていたと報道されている。彼はシンプルなトレーニングを何度も止めながら細かく指示を出し、ヒールキックなどのプレーを厳しく制限した。
彼は「実際の試合でやらないプレーを、トレーニングでやるべきではない」とアクロバティックなプレーを狙ったラカゼットを叱責し、チーム全体にトレーニングの重要性を認識させている。
アルテタの指導で大化けの期待があるのは?
ルイスと同様に鍵になったのは、そのラカゼットだ。彼はティアニーからのパスを絶妙にライン間で受けると、無駄なく逆サイドへ展開。前進するペースを殺さずに的確に展開したことで、疑似カウンターに近い局面が生まれている。縦パスによる前進への拘りは、試合中のアルテタがどのような反応を示しているかでも明白だ。
同時にダヴィド・ルイスは中盤が正しいスペースに下がってこないときには檄を飛ばし、チーム全体でボールを運ぶ意識を統一している。ダニ・セバージョスはターンの速度やスムーズなボールタッチを得意としており、スピードを落とさずに前進を助けることが可能だが、受けるタイミングに改善の余地を残している。
DFラインから動きながら受けるように指示を出されることもあるように、スペインの天才もビルドアップ面では適応に苦しんでいるようだ。技術面では間違いなくトップクラスなので、アルテタの指導でどこまで化けてくれるかを期待するサポーターは多いだろう。
(文:結城康平)
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