ELは若手の品評会
【写真:Getty Images】
アーセナルは完敗したトッテナム戦から先発全員を入れ替え、ELグループステージ最終節に臨んでいる。結果は4-2で勝利。6戦全勝で決勝トーナメントに進むことになった。
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ダンドークのビルドアップは立ち上がりから怪しかった。エミール・スミス=ロウにパスをカットされてピンチを招き、エディー・エンケティアに入れ替わられて危うくPKを献上しそうになったこともあった。そして12分、アーセナルは素早いエンケティアがボールを奪い、GKの頭上を越えるループシュートで先制。アーセナルのハイプレスは機能していた。
敗退が決まっているダンドークと、首位通過が決まっているアーセナルの最終節は、勝敗自体にフォーカスが当たることはなかった。前半に奪ったリードを広げたアーセナルが、試合終盤に1点を返されながらも逃げきっている。
最大の収穫は若手の台頭だろう。フォラリン・バログンはジョー・ウィロックが決めた3点目をアシストすると、80分には今大会2得点目を決めた。今夏限りでバログンの契約が切れることが懸念されているが、ミケル・アルテタ監督は「我々は彼にここにいてもらいたいし、彼もここにいたいと言ってくれた」と、契約延長に近づいていることを示唆している。
アーセナルのようなビッグクラブにとって、ELは若手選手の発掘という重要な意義を持っている。昨季はブカヨ・サカやガブリエウ・マルティネッリがこの大会をきっかけにリーグ戦でもチャンスを掴んだ。バログンやこの試合でトップチームデビューを飾った18歳のミゲル・アゼーズなどの活躍は、年始にかけて過密日程が続くチームにとってプラスになるだろう。
CBの復帰は起用の幅を広げる
「今は負傷者も戻ってきて、明らかに大きなスカッドを手に入れた。そのときに良い選手を選ぶことも、何人かをローテーションすることもできるね」
ELはグループステージを終え、決勝トーナメントは2月に始まる。およそ2か月はプレミアリーグとカラバオカップ、そして1月に始まるFAカップに集中することになる。ELでアピールに成功したメンバーに加え、負傷者も続々と復帰。15位から反撃するための準備は整いつつある。
パブロ・マリとカラム・チェンバースは1週間前のラピド・ウィーン戦で復帰。1年近く離脱していたチェンバースは、ダンドーク戦で復帰後初めて90分プレーしている。両者ともにパフォーマンス自体は長いブランクを感じさせたが、トップフォームが戻れば十分に戦力になるだろう。マルティネッリもリザーブチームで復帰を果たしており、トップチームに戻ってくるのもそう遠くない。
2人の復帰によって最終ラインの起用の幅が広がるのは確実だ。2人がコンディションを戻せばガブリエウ・マガリャンイスを休ませることもできるし、4バック採用の可能性も出てくる。キーラン・ティアニーをサイドで起用するという選択肢もあるだろう。
試されるアルテタの手腕
プレミアリーグでは11試合でわずか10得点。攻撃陣のテコ入れは必須だが、必要なのは攻守のバランスを保つことである。良いときのマンチェスター・シティは攻撃こそが最大の防御だった。いい守備がいい攻撃を生み、いい攻撃がいい守備につながる。
となると、試されるのは指揮官の手腕だ。アルテタがフレドリック・ユングベリ暫定監督からバトンを受け継いで、まもなく1年が経とうとしている。メンバーが揃いつつある状況で、指揮官の采配が低迷を脱するための特効薬になることは明らかである。
就任直後は引き分けが続いてなかなか勝ち点が伸ばせなかったが、リーグ戦再開後は3バックへの変更が機能してFAカップを獲得。負傷者が多い中で最低限以上の結果を残した。しかし、肝煎りだったガブリエウやトーマス・パルティらを迎え入れた今季は結果を残せていない。
週末にはバーンリー戦を控えている。ELで活躍したメンバーにとっては生き残りをかけた数少ないチャンスとなり、主力はノースロンドンダービーの雪辱を期すための重要な試合となる。指揮官は「結果を求めるだけだ」という言葉を残した。反撃の準備は万端で、言い訳が許されない状況が整っている。
(文:加藤健一)
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