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首位を守ったミラン
ナポリを率いるジェンナーロ・ガットゥーゾ監督は現役時代を過ごしたミランに戦いを挑んだが、首位に立つミランが一枚上手だった。ナポリは19本のシュートを放ちながら、ミランは最少失点に抑えて勝利を手繰り寄せた。
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立ち上がりにボールの支配権を握ったのはミランだった。フランク・ケシエとイスマエル・ベナセルの両ボランチが広範囲に動いてボールを引き出し、左サイドバックのテオ・エルナンデスが高い位置を取る。序盤からチャンスを作る中で、5本目のシュートがズラタン・イブラヒモビッチのゴールにつながった。
先制を許したナポリは反撃に出たが、決定機を活かせなかった。アタッキングサードまでは侵入できてもゴールネットは揺らせない。27分にはCKから立て続けにシュートを放ったが、ゴールポストとジャンルイジ・ドンナルンマの好セーブに阻まれた。
ミランの追加点は54分。自陣からのカウンターで、アンテ・レビッチが左サイドを突破した。左足でふわりと上げたクロスは、イブラヒモビッチの膝に当たってゴールとなった。
ナポリは63分にドリース・メルテンスのゴールで点差を1点に縮めたが、その2分後にティエムエ・バカヨコが2枚目のイエローカードをもらってしまう。広いエリアをカバーするボランチを失ったことで、ナポリはアタッキングサードでの迫力に欠いた。後半アディショナルタイムには、前掛かりになったところを突かれてリードは再び2点に。勝利したミランは首位の座を守った。
技術の詰まったゴール
イブラヒモビッチは今季のセリエAでの得点数を2ケタに乗せた。出場した6試合すべてでゴールを挙げ、1試合2得点はこれが4度目。39歳を迎えてもゴールを量産し続けている。
1点目も2点目も、イブラヒモビッチはカリドゥ・クリバリの背後にポジションを取っている。1点目はクロスが上がった瞬間にクリバリの前に入り、2点目はファーに流れて身長差のあるマリオ・ルイとマッチアップした。
再現性のあるゴールで、相手からすれば防ぐのが難しい。イブラヒモビッチはクリバリの視界に入らないような位置でボールを待っており、ルイとの競り合いは圧倒的に有利である。クロッサーからいいボールが供給されれば、高い確率でゴールにつながる。
文字で説明するのは簡単だが、それを実行するのは難しい。しかし、イブラヒモビッチは落下地点の予測の巧さが圧倒的にうまい。シンプルに競り合うとクリバリに対しては分が悪いが、先に落下地点に入ってしまえば、ほとんど勝っていた。
歳を重ねればフィジカルは衰えるのは当然だが、イブラヒモビッチにはそれを感じさせない。そしてさらにフィジカルに依存しない点の取り方ができる。得点が欲しいところで取るのは神がかり的だが、ゴール自体は神というより職人的な技術がつまっている。
イブラヒモビッチの負傷
驚異的なペースでゴールを量産してきたが、ついに限界がおとずれた。イブラヒモビッチは78分に左太ももをおさえ、ピッチに座り込んでしまった。代表ウィーク中に休めたとはいえ、それまでの1か月はセリエAとUEFAヨーロッパリーグ(EL)でフル稼働。イブラヒモビッチも唯一、疲労の蓄積には勝てなかった。
そのままロレンツォ・コロンボと交代でピッチを後にし、患部にはアイシングが施された。負傷の軽重はわからないが、肉離れであれば数週間の離脱は免れない。
イブラヒモビッチが去ったミランの前線は迫力を欠いたが、試合終了間際の得点は数少ない光明だった。イェンス・ペッター・ハウゲはマッチアップしたコスタス・マノラスを翻弄してゴールを決めた。UEFAヨーロッパリーグでは予選も含めてすでに4得点を挙げているが、セリエAではこれが初ゴールだった。
ハウゲはイブラヒモビッチが母国でプロキャリアをスタートさせた1999年に、コロンボは日韓ワールドカップに出場した2002年に生まれた。大黒柱が不在となれば、若い彼らにかかる期待も大きくなるだろう。
(文:加藤健一)
【了】