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レアルには何かが足りない。セルヒオ・ラモスは偉大だが、“憎らしい”強さを取り戻すために必要な存在は…【欧州CL】

UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第3節、レアル・マドリード対インテルが現地時間3日に行われ、3-2でレアルが勝利を収めた。セルヒオ・ラモスのゴールなどで2点をリードしたが、一時は同点に追いつかれている。なんとか勝ち点3を持ち帰ったものの、強かった頃のレアルとはまだ差があるようだ。(文:本田千尋)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

偉大なセルヒオ・ラモス

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【写真:Getty Images】

 “憎らしいレアル”が戻ってきたのだろうか。現地時間11月3日に行われたチャンピオンズリーグ、グループBの第3節。敵がどれだけ戦術的に洗練されていようと、どれだけ流れを引き寄せて攻めてこようと、セルヒオ・ラモスが一撃でぶち壊す。そんな勝ちパターンを彷彿とさせる展開でインテルを3-2で退けたジネディーヌ・ジダン監督は、試合後、4番を背負う主将を次のように讃えた。

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「我々は彼(ラモス)がどれだけ偉大な選手かをしっている。彼は我々のキャプテンであり、リーダーであり、もちろん我々と永遠に一緒にいてほしいと思う」

 前半のエル・ブランコは、初戦のシャフタール戦に比べれば、見違えるように引き締まったサッカーを展開。カリム・ベンゼマ、マルコ・アセンシオらが前線から積極的に守備を見せ、左WBのアシュリー・ヤングに対しても、このところ本職ではないSBを務めるルーカス・バスケスがプレスを怠らない。決して守備の穴を空けず、ハイプレスとリトリートを巧みに使い分けるインテルと五分五分の試合展開。

 すると25分、均衡が破れる。左サイドでレアルが同数でインテルをハメると、フェルランド・メンディがアシュラフ・ハキミのミスを誘う。勢い余ったバックパスを、ベンゼマがかっさらって先制に成功。さらに33分には、「永遠」の主将が追加点を決める。トニ・クロースが蹴ったCKを、ラモスが力強くヘディングで叩き込む。

2戦連続ドローは回避

 敵がどれだけ戦術的に洗練されていようと、どれだけリズムに乗って攻めてこようと、セルヒオ・ラモスの一撃がぶち壊す。このままアントニオ・コンテに苦杯を舐めさせ、憎らしく勝つレアルが戻ってきた――、かに思われたが、どうやらフットボールはそんなに甘くないらしい。

 35分、ニコロ・バレラの意表を突くダイレクトプレーでペナルティアーク付近にできたスペースにボールを落とされ、ラウタロ・マルティネスに決められて1点差。それでも試合後のコメントによれば、バスケスは「僕らはゲームをコントロールしていると思っていた」そうだ。

 後半に入ると、アセンシオがマルセロ・ブロゾヴィッチにマンマーク気味に付くなど、さらに引き締めるレアルの選手たち。しかし68分、積極的な守備で前に出たラモスの裏を突かれ、最後はイバン・ペリシッチに決められて同点に追い付かれてしまう。

 結局、終盤に足が止まったインテルを、80分、途中出場のヴィニシウスとロドリゴのコンビで振り切るように決勝点を挙げ、2戦連続ドローを避けることはできた。

レアルに足りない「何か」

 ジダンが絶大なる信頼を置く男の一撃で勝利を手繰り寄せたレアルは、一見すると、かつてCL3連覇を成し遂げた頃の強さを彷彿とさせる。

 しかし、このインテル戦では2点をリードしながら追い付かれ、完勝とまではいかなかった。もちろんロドリゴが「本当にタフなゲームだった」と振り返ったように、アントニオ・コンテ監督率いるチームは簡単な相手ではないが、やはり“憎らしいレアル”を取り戻すには、まだ何かが足りない。その何かとは――。

 1つは、ダニエル・カルバハルだろう。同点に追い付かれた場面で、最後にペリシッチに対応したのはバスケスだったが、対応が少し甘かったかもしれない。もちろんバスケスは本職のSBではないので致し方ないところもあるが、これがもしカルバハルだったら、失点を防げていたかもしれない。時期は12月の頭頃とされているが、負傷離脱中のスペイン代表SBの復帰が待たれるところだ。

 そしてもう1つは、マルセロのような存在。元ブラジル代表SBは、メンディに取って代わられつつあり、年齢的にもCL3連覇時のトップフォームを取り戻すのは難しいかもしれない。よってチーム内に、ラモスのような勝負所で試合を決めに行ける選手が、もう1人は欲しいところだ。

 時に戦術を超越し、試合の流れを一発で引き寄せられるような存在。フットボールはそんなに難しくない、そう言わんばかりにサッカーの神様が定める運命を簡単にひっくり返せるような存在――。

 インテル戦の結果だけでは、“憎らしいレアル”が戻ってきたと言い切ることはできないだろう。もちろんCL3連覇時のチームに戻る必要はないが、まだ隙があるのも事実。コンテ監督率いる難敵に勝ち切ったことで、このインテル戦を、嫌らしくも勝ち続ける姿を取り戻すきっかけとしたいところだ。

(文:本田千尋)

【了】

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