前半のマンCは攻撃が停滞
【写真:Getty Images】
最終的にスコアは0-3と開いたが、マンチェスター・シティの圧勝というわけでもない。シティはマルセイユの守備に手を焼いていた。
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シティはセルヒオ・アグエロとガブリエウ・ジェズスが離脱中で、本職のセンターフォワードが不在という状況。この試合では最前線にフェラン・トーレス、左にフィル・フォーデン、右にラヒーム・スターリングという配置で試合を始めた。
両ウイングはワイドに開いて幅を取り、ケビン・デブルイネがハーフスペースを浮遊する。中盤のイルカイ・ギュンドアンと左サイドバックのオレクサンドレ・ジンチェンコがハーフスペースの下がり目の位置でバランスを取った。
シティのウイングとマルセイユのウイングバックがマッチアップする形だった。サイドで深い位置を取っても、ゴール前にはマルセイユの選手がスペースを埋めている。デブルイネやトーレスがライン間でボールを受けても、マルセイユのゾーンプレスによって挟み込まれてボールを奪われてしまう。シティはネガティブトランジションの意識が強く、マルセイユにカウンターを浴びる機会はほとんどなかったが、攻撃面では手を焼いていた。
1つのミスがゲームプランを狂わす
しかし、ビッグチャンスが転がり込んできたのはシティだった。マルセイユ陣内で相手のパスがデブルイネに渡る。これをダイレクトで折り返し、ゴール前に走り込んだトーレスが流し込み、18分に先制した。
前半のシュート数は6本。手応えのない45分だったが、棚から落ちてきたぼた餅が後半になってボディーブローのように効いてくる。
マルセイユは第1節でオリンピアコスに敗れている。シティ、ポルトという強豪との対戦が続くことを考えると勝ち点3が欲しい試合だった。連敗すれば、グループステージ突破はおろか、最下位という結果すらも現実味を帯びてくる。シティ戦は0-0で勝ち点1を得るというゲームプランに見えた。
「下がり過ぎずに守っていたし、選手たちは格別だった」とアンドレ・ビラス=ボアス監督は試合を振り返った通り、ディフェンスの狙いは奏功していたように見えた。
これまでの基本である4バックではなく、マルセイユは5-3-2の布陣でこの試合に臨んだ。2トップは相手のセンターバックにプレッシャーをかけず、DFラインは下がり過ぎないで3ラインをコンパクトに保った。
5-3-2をピッチに並べるとサイドのスペースにはウイングバックしかいない。ここは酒井宏樹とジョルダン・アマビが縦にプレスをかけてスペースを埋める。3人のセンターバックの前には3人のミッドフィルダーが立ちふさいでおり、前半は隙の無い守りを見せていた。
一枚上手だったマンC
後半のシティの狙いは明確だった。サイドではなくハーフスペース。相手のウイングバックが待ち構えているところではなく、左右のセンターバックとウイングバックの間のスペースに味方を走りこませた。
5バックの外からクロスを上げればゴール前には3人のセンターバックが待ち構えているが、ハーフスペースを突破すれば、センターバックは2人しかいないのでチャンスになる。1点を追うマルセイユが前掛かりになったこともあり、ウイングバックとセンターバックの間にスペースが生まれた。
61分にはラヒーム・スターリングが抜け出してチャンスを作っている。2点目につながるクロスを上げたフォーデンも、3点目をアシストしたデブルイネも、その隙を見逃さなかった。
マルセイユは前半の守備がうまくいっていただけに、前半の失点が痛かった。勝ち点1を得るためには攻めなければいけない。前掛かりになったところをマルセイユは突かれ、試合終盤に2失点を喫した。
シティは90分を通してシュート9本で3点を奪った。効率の良さや決定力の高さというよりは、分析力の高さと一刺しの鋭さを見た。2シーズン前のような相手を圧倒する強さはないが、今のシティには試合の流れを読む勝負強さがあるのかもしれない。
(文:加藤健一)
【了】