木場氏がテーマとした“馬力”
ブラジルワールドカップを控えるインテルDF長友佑都は今季名門のキャプテンを務めるなど心身ともに充実した日々を過ごしている。
今シーズン終了に向けた最大のクライマックスとなる、親友の本田圭佑の所属する5月4日のACミランとのミランダービーも、ワールドカップでの飛躍へのステッピングボードとにらむダイナモは今季どのようなテーマを抱えて闘ってきたのだろうか。
「世界一のサイドバック」を目指して高い次元で闘う長友は“右腕”と呼ばれるパーソナルトレーナーの木場克己氏とある戦略を立てたという。
「去年のコンフェデレーションズカップでコンディションに多少の不安があったので、長友選手とは“身体をどう作るか”というテーマで話し合いました。この時は『馬力』というテーマを設定しました。
長友選手の強みであるガムシャラな部分をもう一度押し出そうというのがコンセプトです。馬力というのはつまり走力です。メニューは体幹トレーニング以外にも、坂道ダッシュがメーンになりました」
体幹・体軸・バランスを強化する独自のトレーニングメソッド「コバトレ」を開発した木場氏はこう語った。長友のみならず、チェルシーの大儀見優季らトップアスリートのパーソナルトレーナーを務める。
昨シーズン、左ひざ半月板損傷というケガを負いながらも手術を回避した長友は昨年6月のコンフェデ杯では本来の積極的な仕掛けが見られなかったが、セリエA開幕後はいつも通りの勇姿を見せている。
その陰には100メートル走10秒台という世界のトップに伍する圧倒的なスピード、ロスタイムにも運動量が落ちない衝撃的なスタミナという長友自身のストロングポイントを強調する、原点回帰という狙いがあったようだ。木場氏の指導の下、傾斜をつけた坂を全力疾走するたびに、本来の力強い走りを取り戻したのだろう。