“モイーズ流”の単調な攻撃。夢の中へ誘われたファーガソン
デジャヴュだった。いや、実際に見た経験があるのだからデジャヴュとは言わないのかも知れない。ライアン・ギグスによる新体制が前節ノリッジ戦で見せた変化はそこには無く、モイーズ時代を思い起こさせる単調な攻撃が繰り広げられていた。
気温14℃、柔らかな日差しが降り注ぐ小春日和の午後4時。御歳72歳になるサー・アレックス・ファーガソンさんがまぶたを閉じ、夢の中へ誘われていくには十分な条件が揃っていた。
この試合、ウェイン・ルーニーはそけい部を痛めたということでベンチを外れ、香川真司の姿も無かった。前線に起用されたのはハビエル・エルナンデスとフアン・マタ。サイドには左にナニ、右にアシュリー・ヤングが名を連ねた。
「単調なサイド攻撃は策を持たないモイーズのせいだ!」。そういった意見も多々あったし事実だった。モイーズ体制での最多のクロス本数は81。対してこの試合でのユナイテッドのクロス本数は42本に“留まった”。
なぜ“留まった”なのか?
リヴァプールの平均クロス本数が16.8本であり、少ない試合では1ケタを記録することもあることを考えれば、42本という数は多く感じるだろう。
しかし、ある一人の選手のスタッツを見てみれば“留まった”と感じられるはずだ。その選手とは、アシュリー・ヤングである。
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