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アーセナルはリバプールの新たなライバル? 拮抗した3度目の対決、勝敗を分けた決定的な差は…

プレミアリーグ第3節、リバプール対アーセナルが現地時間28日に行われ、3-1でリバプールが勝利した。リバプールは先制されるや否や、すぐさま逆転に成功。試合終盤には新加入のディオゴ・ジョッタにもゴールが生まれている。アーセナルは試合にこそ敗れたものの、リバプールと互角に渡り合えるポテンシャルを随所に見せている。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

互角だったリバプール対アーセナル

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【写真:Getty Images】

 昨シーズンのプレミアリーグ王者と、8位チームとの差は、かなり縮まったと言っていい。昨季は勝ち点差が44ポイントあった両者だが、この試合は互角と言っていいほど拮抗したものだった。

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 ミケル・アルテタ監督就任後、アーセナルがリバプールと戦うのはこれが3度目。1度目は昨季の第36節で、既に優勝を決めていたリバプールに2-1で勝利。FAカップを制したアーセナルは先月末にコミュニティーシールドに臨み、PK戦の末にリバプールを下している。そして3度目の対戦はリバプールに軍配が上がっている。

 過去2回に続いて、この試合もアーセナルが先制した。GKから繋いでいき、グラニト・ジャカの縦パスを受けたアレクサンドル・ラカゼットが左へ展開。エインズリー・メイトランド=ナイルズのクロスは通らなかったが、アンドリュー・ロバートソンのキックミスを拾ったラカゼットがゴールに押し込んだ。

 アーセナルのゲームプランはコミュニティーシールドのときと同じ。5-4-1で構えつつ、ボールを握れば自陣の低い位置からでも繋いだ。相手のハイラインの裏を突いた狙い通りの得点で、コミュニティーシールドの先制点とも似た状況だった。

 しかし、ここからが違った。先制したアーセナルは前から取りに行くのか、後ろでブロックを固めるのか、ボールを握るのか、素早く敵陣に攻め込むのか曖昧だった。全体が間延びしてスペースが生まれ、縦パスを通され、サイドを崩され、あっという間に逆転を許した。

 リバプールの戦いはぶれなかった。DFラインでボールを回して様子をうかがい、逆サイドに大きく展開し、楔のパスを前線に入れる。アーセナルが先制後に浮足立ったのに対し、リバプールは自身のストロングポイントを90分間貫いた。88分には移籍後リーグ戦初出場となったディオゴ・ジョッタがゴールを決め、3-1でリバプールが勝利を収めている。

アーセナルはリバプールのライバルに?

 逆転を許したものの、アーセナルにも追いつくチャンスはあった。しかし、ラカゼットは2度の決定機を活かすことができなかった。ウィリアンのスルーパスと、ダニ・セバージョスのスルーパスに反応してGKとの1対1の状況を作り出したが、フィニッシュはいずれもGKアリソンに阻まれた。

 ボールを握った時間はリバプールが長く、シュートの数でもリバプールが大きく上回ったが、決定機の数はこれまでの2回と同様にほぼ同じ。しかし、拮抗した試合では、1つのミスが勝敗を分ける。ロバートソンは自身のミスが失点につながったが、素晴らしいオーバーラップから逆転弾を決めている。ラカゼットはディフェンス面の貢献こそ光っていたが、2度の決定機を外したのは痛かった。

 思い返せば、2-1でアーセナルが勝利した昨シーズン第36節も、アーセナルの2得点はリバプールのミスから生まれている。拮抗した試合を動かすのはミスであることが多い。そして、相手のミスを誘うのも、そのリスクを回避するのも戦略の1つである。

「彼ら(リバプール)は5年間も一緒にやっている。1年、2年、3年であれをやるのは不可能だ」

 ミケル・アルテタ監督は試合後にそう言った。勝負の神様は細部に宿り、その細部まで突き詰めるのには時間がいる。両指揮官の在任期間は決定的な差だ。いい戦いをするアーセナルから、勝てるアーセナルになるまでには、少しばかりの我慢が必要なのかもしれない。

 ただ、ビッグ6にあれだけ弱かったアーセナルが、昨季終盤はリバプールに勝利し、マンチェスター・シティとチェルシーを下してFAカップを制した。アルテタが操縦するバスは確実に前に進んでいる。

 アルテタ率いるアーセナルは、クロップ・リバプールとの対戦成績を1勝1敗1分とした。ペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティが負傷者の影響もあって苦戦を強いられている今、アーセナルがリバプールと覇権を争うかもしれない。

 奇しくもリバプールとアーセナルは、2日後に同じアンフィールドでカラバオカップ4回戦を戦う。

(文:加藤健一)

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そういった意味ではベンゲルが作り上げたアーセナルと今の世界は大いにリンクする。
ベンゲルが落とし込んだ理想にしどろもどろする今のアーセナルは、大袈裟に言えば社会の鏡のような気がしてならない。
だからこそ今、皮肉でもなんでもなく、ベンゲルの亡霊に苛まれてみるのも悪くない。
そして、アーセナルの未来を託されたミケル・アルテタは、ベンゲルの亡霊より遥かに大きなアーセナル信仰に対峙しなければならない。
ジョゼップ・グアルディオラの薫陶を受けたアーセナルに所縁のあるバスク人は、それこそ世界的信仰を直視するのか、それとも無視するのか。

“新アーセナル様式”の今後を追う。

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【了】

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