プレミアリーグの歴史に光を照らす存在
無敗優勝を成し遂げた2003/04シーズンのアーセナルは、主として4-4-2のフォーメーションを採用していた。
【今シーズンのアーセナルはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】
アルセーヌ・ヴェンゲル率いるクラブは、2003/04シーズンにプレミアリーグを独走。技術に優れたMFはリズミカルなパス回しで相手を翻弄し、両サイドバックは積極的に攻撃に参加していく。右サイドのフレドリック・ユングベリはライン際からの仕掛けを得意とし、左サイドのロベール・ピレスは内側にポジションを移動しながら積極的にチャンスメーク。中盤にはパトリック・ヴィエラとジウベルト・シウヴァを並べ、攻守に最高の人材を揃えていた。
特にヴィエラとシウヴァが並ぶ中盤は抜群のバランスを誇り、恐らく現代サッカーでも通用するコンビネーションだろう。特に全盛期のヴィエラはフィジカルとテクニックの両面で他を圧倒しており、容赦なく中盤を制圧していく。無敗優勝の立役者となったフランス人MFの姿を、クラブの象徴として思いだすサポーターも少なくないだろう。
ただ、攻撃的で華麗なフットボールを披露したアーセナルのイメージと適合するのはティエリ・アンリとデニス・ベルカンプではないだろうか。世界最高クラスの2トップは、プレミアリーグの歴史を輝かしく照らす光となった。UEFAの公式HPがアーセナルの過去20年から選出したベストイレブンにおいても、前線は彼ら2人となっている。師匠と弟子のような2人は、熱狂的なサポーターの脳裏に焼き付いているに違いない。
そんなアンリのシーズンをデータ分析サイトの『StatsBomb』が、2020年の6月に解析。そのシュートマップには、中距離から積極的に狙っていくスタイルが反映されている。左右両方から狙っているが、数が多いのは明らかに左サイドだ。左サイドからはフリーキックも多く沈めており、ドリブルでエリア内に浸入するパターンも多い。芯をピンポイントで撃ち抜くブレ球のようなキックは、相手GKにとって処理が難しいものだった。
マンチェスター・ユナイテッド戦ではゴール中央の高めにシュートを決めているが、甘いコースであってもゴールにボールを突き刺す威力を見せつけた。予備動作が少ない状態から放たれるミドルシュートは、近年ではヤヤ・トゥーレを彷彿とさせる。
無回転シュートが着目される前に同様のボールを蹴っていたアンリは、ボールの中心を射抜くようなシュートタッチを武器にしていた。ドリブルを仕掛けることを警戒すれば、虚をつくようなミドルが飛んでくる。
(文:結城康平)
フットボール批評がついにアーセナルを大特集! 日本一硬派なサッカー専門誌がすべてのグーナーに贈るバイブルの詳細は↓↓↓をクリック!
【了】