ミスから逆転されたリバプール
リバプールはアンドリュー・ロバートソンの折り返しをサディオ・マネが決めて20分に先制した。しかし、前半のうちに2失点を喫して逆転を許すと、24本のシュートを放ちながらも追いつくことができず。今季リーグ戦3敗目を喫した。
【今シーズンの南野拓実はDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】
前節でトッテナムに敗れたアーセナルは、リーグ戦の成績でUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権を獲得することは絶望的になっていた。準決勝に駒を進めたFAカップにその望みを託し、この試合では大幅にメンバーを変更。ピエール=エメリク・オーバメヤンやダニ・セバジョスをベンチに置く決断を下した。
ベストメンバーを送り込んだリバプールは試合開始からプレッシャーをかけて試合の主導権を握った。20分に先制した後も攻め続け、相手に攻撃する暇を与えなかった。
リバプールの2失点はともにミスから生まれた。ゴールキックから繋ぐリバプールに対してアーセナルが圧力をかけると、フィルジル・ファンダイクのバックパスが短くなったところをアレクサンドル・ラカゼットがインターセプトしてゴールに流し込んだ。
さらに、スローインを受けたアリソンがロバートソンにリターンしようとしたところをラカゼットがカット。グラウンダーの折り返しをリース・ネルソンが受けてゴールに流し込んだ。約12分間でリバプールは自陣で2度もボールを失って失点を喫した。
狙い通りだったアーセナル
アーセナルのゴールはファン・ダイクとアリソン、リバプールが誇る守備の要が犯したミスから生まれた。ユルゲン・クロップ監督は試合後に「今日はヒューマンエラーが起きてしまった。良いことではないけど、いつ起きても驚きではない」と言っているが、ミスだけで片付けてしまうのは安直すぎる気がする。というのも、アーセナルはリーグ戦再開後だけで6度も、この形からゴールを決めている。
「パスに対してプレスをかければ、相手のミスを誘う」とリバプール戦後にミケル・アルテタ監督は語る。サウサンプトン戦では2度、2点目は直接ゴールにはつながっていないが、相手のパスをカットしたところで得たフリーキックから得点が生まれている。ノーリッジ戦でも2度、そしてリバプールからも2度ゴールにつなげた。
1点目のシーンでリバプールはアンカーのファビーニョが降りてきて3人が並ぶ形になっている。アーセナルの右のネルソンは左サイドバックのロバートソンへのパスコースを切りながらファン・ダイクに寄せ、左のニコラ・ペペは右のジョー・ゴメスをケア。中央のラカゼットはファビーニョを見つつGKへのバックパスを狙っていた。
ネルソンの寄せはファン・ダイクが主張する通りファウルになっていた可能性もあるが、仮にそうなったとしてもアーセナルはノーリスク。バックパスしかできない状況を作りつつ、GKへのパスコースに一歩先に入り込んだラカゼットの動きが秀逸だった。
2点目のシーンはロバートソンの自陣でのスローインから。ここでもアーセナルは同じ枚数を当てている。バックパスの選択は問題なかったが、アリソンからパスを受けられる選手がいなかった。ネルソンはファン・ダイクへのパスコースを切りながらアリソンへアプローチ。ファビーニョを見ていたラカゼットが読みを利かせてロバートソンへのパスコースを切った。
リバプールからしてみれば集中を欠いたミスだったようにも見えるが、アーセナル視点で見れば狙い通り。アルテタ・アーセナルの得点パターンの1つと言っていいだろう。
南野拓実に活躍の兆し
南野拓実には久々にまとまったプレータイムが与えられた。61分にロベルト・フィルミーノに代わってピッチに入ると、マネからのパスを受け、反転から左足を振り抜く。その直後のプレーではライン間でトレント・アレクサンダー=アーノルドからの縦パスを引き出してファウルを受けた。
この試合では精彩を欠いたフィルミーノとは対照的に、南野は精力的に動いてパスを引き出した。約30分の出場で23度のボールタッチを記録し、3度のファウルを受けている。ここまで7試合で4本しかシュートを打てていなかったが、先発したエバートン戦に並ぶ最多タイの2本のシュートを記録した。
これまで南野になかなかパスが来なかったのは、出し手と南野の意図がかみ合っていなかったのだろう。しかし、この試合の最初のシュートは出し手のマネと受け手の南野の意思疎通が図れていた。南野は少しずつリバプールという最強かつ特殊なチームに適応しているのではないだろうか。活躍の兆しを見せた試合だった。
17/18シーズンにマンチェスター・シティがマークした最多勝ち点記録更新の可能性が潰えたことで、リバプールは残り2試合で大幅にメンバーを変えるかもしれない。活躍の兆しだけで生き残れるほどリバプールでプレータイムを得るのは簡単ではない。残りの試合で南野は結果を残すことができるだろうか。
(文:加藤健一)
【了】