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守備の男が母国を決勝に導く2得点。リリアン・テュラムが実現させた奇跡【W杯】

text by 編集部 photo by Getty Images

リリアン・テュラム
【写真:Getty Images】

 142試合にも及んだ代表チームでのキャリアの中で、ゴールを決めたのは1試合だけ。だがその1回が、母国のワールドカップ初優勝へと繋がる準決勝での2得点だった。

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 そんな嘘のような話を現実のものとしたのが、フランス代表のレジェンドDFであるリリアン・テュラム氏。2得点を挙げた試合はちょうど22年前の1998年7月8日、クロアチア代表と対戦したフランスワールドカップ準決勝だ。

 1990年代後半から2000年代前半にかけての世界最高のDFの一人として、所属クラブでも代表チームでもSBやCBとして活躍したテュラムだが、得点力のある選手ではない。クラブレベルでも、キャリア初期のモナコ時代にはいくつかのゴールも挙げたが、その後パルマ、ユベントス、バルセロナに所属した合計12年間を通して記録した得点は合計でわずか2ゴールだった。

 だがその守備の男が、自国開催のワールドカップ準決勝という大舞台でまさかの大仕事をやってのけた。ワールドカップ初出場ながらも準決勝進出という躍進を遂げたクロアチアに、後半開始直後に先制点を許したあと、試合は予想外の展開を描いた。

 失点直後の47分、相手エリア付近まで上がってボールを奪ったテュラムは、そのままユーリ・ジョルカエフからのスルーパスを受けて同点ゴールを記録。さらに終了間際の89分、右サイドでの仕掛けから一旦奪われかけたボールを奪い返すと、エリア手前からの左足シュートで決勝点となる2点目も突き刺してしまった。

 予想外のヒーローに導かれて決勝進出を果たしたフランスは、ジネディーヌ・ジダンの2発などでブラジル代表も撃破。悲願のワールドカップ初優勝を飾り、名実ともにサッカー界の超大国の一角を占める存在となった。

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