ラッキーな得点を重ねるアーセナル
リーグ戦再開から連敗スタートとなったアーセナルは、サウサンプトン戦に続いて完封勝利を収めた。今季リーグ戦最多に並ぶ4得点をあげたこの試合は快勝といっていいだろう。
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37分にピエール=エメリク・オーバメヤンが相手GKに寄せてパスをカット。そのままゴールに流し込んで先制している。その4分後にはDFラインの裏に抜けたオーバメヤンからパスを受けたグラニト・ジャカがゴールネットを揺らした。
後半にもノーリッジのバックパスを拾ったオーバメヤンがこの日2点目を決めた。80分にはCKのこぼれ球を拾ったセドリク・ソアレスが左足でミドルシュートを決めている。
相手のミスから2得点をマークしたオーバメヤンは得点ランキングでトップに並んだ。並ばれたジェイミー・ヴァーディーはノーリッジを恨んでいるかもしれない。昨年いろいろあったジャカにも今季初ゴールが生まれ、冬に加入して以降リハビリが続いていたセドリクはアーセナルデビュー戦でゴールを決めた。アーセナルにとっては嬉しさが何倍にもなる勝利だった。
振り返ってみれば前節のサウサンプトン戦もラッキーな形からの得点だった。先制点はこの日と同じくGKからボールを奪って決めている。2点目も相手のバックパスを拾ったオーバメヤンが倒されて相手選手が一発退場。直後のFKからゴールが生まれている。
この2試合で挙げた6得点のうち4得点は相手の明らかなミスが絡んでいる。ただ、ノーリッジ戦は勝利に値する試合を見せていたのではないだろうか。
狙い通りのゴール
最下位に沈むノーリッジと対戦したアーセナルは前節で採用した3バックを継続し、4人を変更した。ダビド・ルイスが先発に復帰し、契約延長が発表されたブカヨ・サカは温存されている。
前線はオーバメヤン、アレクサンドル・ラカゼット、リース・ネルソンという3人だったが、並びとしてはラカゼットのトップ下に配した3-4-1-2という表現が正しいだろう。そしてそれがこの試合のアーセナルの狙いでもあった。
4バックのノーリッジに対して3トップが正対するとチャンスは生まれにくい。アーセナルはラカゼットが降りてきて、中盤で3対2の数的優位を作った。さらに、オーバメヤンとネルソンが相手のサイドバックの背後を取る。相手のサイドバックが2人をケアする隙をついてアーセナルのウイングバックが大外に張り、長いボールを引き出した。
キックオフから繰り返していたこの動きが、37分の得点につながった。ダビド・ルイスのロングボールを左サイドでキーラン・ティアニーが受ける。相手のサイドバックがつり出されると、オーバメヤンがDFラインの裏を取る。センターバックがつり出されて生まれたスペースにジャカが走りこんで決めた。
ダビド・ルイスがフィードを出したとき、ラカゼットは自陣まで下がっている。相手のボランチがラカゼットについていったことでジャカがフリーになった。
右サイドでもベジェリンがDFラインの裏をとるシーンや、スコドラン・ムスタフィがインナーラップからフリーになるシーンを作っていた。「今日起きたことを見れば、チームとして正しい方向に向かっていると納得できる」と試合後にミケル・アルテタ監督が言う通り、ビルドアップからの崩しという点ではこの試合はかなり完成度が高かった。
満足するアルテタ
前半で2点のビハインドを負ったノーリッジはハーフタイムに3人を同時に交代させた。これが奏功して後半はチャンスを作り出したが、ゴールにつなげることはできなかった。
押し込まれる時間が続いたアーセナルは58分にネルソンを下げてジョー・ウィロックを投入。ウィロックはネルソンのようにDFラインと駆け引きするのではなく、ライン間でボールを引き出して中盤に厚みをもたらした。ウィロックの投入から徐々に主導権を取り戻したアーセナルは、相手のミスから奪った67分のゴールで勝敗の行方を決した。
「試合に対する姿勢や、試合を支配して相手を利用するために必要な理解については、全体的に満足している」
粗削りな部分も残しているが、指揮官は試合内容に手応えを感じているようだ。2点目のシーンも、ウィロック投入による戦略の変更もうまくいった。ラッキーと表現した相手のミスも、高い位置からのプレッシングが機能している証と見ることもできる。アルテタの指導力と采配は、監督1年目のそれとは思えない。
4位チェルシーとの差は8ポイント、6位との差も6ポイントあり、欧州への道のりは依然として厳しい。最高峰の舞台でのプレーを望むオーバメヤンや今季終了までプレーできることになったセバジョスの去就もいまだ不透明。しかし、今季がどのような結果で終わろうとも、アルテタがいる限り、チームは正しい方向に向かっていくのではないだろうか。そう思わせる試合だった。
(文:加藤健一)
【了】