両者の課題
未曾有の事態を経て、スペインにフットボールが戻ってきた。レアル・マドリードと2ポイント差で首位を走るバルセロナはマジョルカと対戦している。
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スコアは開始早々に動いた。左サイドからジョルディ・アルバがクロスを上げると、ジョアン・サストレの死角からうまく飛び込んだアルトゥーロ・ビダルが頭で合わせてゴールネットを揺らしている。リーグ最速記録と1秒差に迫る開始64秒のゴールだった。
ボールを支配しながらもなかなか決定機を作ることはできなかったバルセロナだが、37分にマーティン・ブライスワイトのゴールで点差を広げた。79分にアルバのゴールが生まれて試合の大勢を決めると、2点目と3点目のゴールをアシストしたリオネル・メッシが4点目を決めて、ケーキの上に苺を乗せた。
イバン・ラキティッチがバルセロナでの300試合出場を達成し、ブライスワイトは移籍後初ゴールを決めた。番狂わせが起きることはなく、バルセロナは首位の座をキープしている。
マジョルカが多くのチャンスを作ったことは、バルセロナが多くのピンチを招いたと見ることもできる。キケ・セティエン監督就任以来、指摘されてきたネガティブトランジションの緩慢さはこの試合でも見られた。ボール保持率30%の相手に13本のシュートを許している。
それはマジョルカも同様で、中盤が間延びする展開になっている。マルク・ペドラザとサルバ・セビージャのベテランボランチコンビは守備の強度に欠けていた。1ポイント差で17位セルタ、2ポイント差で16位エイバルを追いかけるマジョルカにとって、中盤の守備強度は残留するためのポイントになるだろう。
マジョルカは0-4になるようなサッカーはしていなかった。しかし、開始早々に先制を許し、前半のうちに追加点を決められ、試合終盤に2失点。カウンターからチャンスを作りながらも、要所で失点を繰り返すという最悪な試合運びをしてしまった。
メッシと久保建英の輝き
再開後の初戦はどのチームも試合勘がカギになる。元日本代表のある選手は、プレッシャーを受けた時のプレーの精度に試合勘が影響すると言っていた。しかし、メッシはプレッシャーをものともせず、3カ月ぶりの公式戦というのを感じさせないプレーを見せていた。
スソの股を抜くパス、アルバへの浮き球のパス、スアレスに送ったラストパス。どれもこれまで何度も見てきたような華麗なプレーだった。先週負った筋肉系のトラブルも癒えれば、コンディションはこれからもっと上がっていくだろう。
メッシと同じように試合勘の不安を感じさせなかったのは、9日前に19歳の誕生日を迎えたばかりの久保建英だった。右サイドでボールを受けた時のプレーは対戦相手のメッシさながらのキレで、対峙したアルバを苦しめていた。
中断前のマジョルカは、攻撃の形を作るのに苦労することが多かった。しかし、この試合ではボール奪取からアタッキングサード侵入までの流れがスムーズで、バルセロナを上回る13本のシュートを放っている。無得点に終わったことは次への課題となるが、バルセロナを相手にこれだけフィニッシュに持ち込めたことはプラスに捉えていいだろう。
久保はこの試合にフル出場し、両チーム最多となる4本のシュートを放っている。ゴールにつなげることはできなかったが、トップ下のダニ・ロドリゲスや右サイドバックのアレハンドロ・ポソと良い連係を見せていた。
22分にはロドリゲスとのコンビネーションで右サイドを突破し、カットインから左足でゴールを狙っている。その10分後にはビダルのハンドで得たゴール正面24mからのFKを直接狙った。どちらもマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンに阻まれたが、久保はバルセロナにとって最も危険な存在になっていた。
(文:加藤健一)
【了】