【写真:Getty Images】
現地時間2月29日に行われたブンデスリーガ第24節のホッフェンハイム対バイエルン・ミュンヘンは、異様な光景となった。
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6-0でアウェイのバイエルンが大勝したこの一戦。通常の90分間の試合にはなっていない。
バイエルンは62分までに6点のリードを奪ったが、スタンドのアウェイサポーターのエリアに掲げられたバナーが問題となり中断となる。ホッフェンハイムの出資者であるディートマー・ホップ氏を中傷するバナーに、バイエルン陣営が激怒した。
ホップ氏は世界的ソフトウェア会社「SAP」の創業者の一人。ホッフェンハイムは同氏が子どものころに所属したクラブで、1990年代から出資を始めたという。ホップ氏の出資で急成長したクラブに対して快く思わない人が一部存在するようで、ボルシア・ドルトムント戦でも同じようなバナーが掲出されて問題視されていた。
約10分間の中断ののちに試合は再開したが、再びバナーが掲げられると、ピッチ上では90分の経過を待つだけのパス交換が両チームで続いている。
試合後には両チームの選手がそろってホッフェンハイムのファンのもとへ行ってあいさつをし、連帯を示す形となった。
バイエルンのカール=ハインツ・ルンメニゲ会長は試合後、クラブの公式サイトでコメントを残している。
「私はこのカオスにとても困惑している。ドイツサッカー界全体で、こういった行為に反対しなければならないときがきたのだ」
「非常に恥ずかしい。ディートマー・ホップは名誉ある人物で、サッカーに限らず、スポーツ全般でポジティブな光を発している。私も彼に謝罪した。ただ、アウェイスタンドで起きたことは本当に許しがたい」
「試合そのものに関して、我々のチームがとても良い一日だった。だが、その言い訳にはならない。全てはカメラにとらえられており、今日、バイエルンの名を傷つけた責任者には最も厳しい態度をとることになる」
「選手たちが試合の最後にしたことは、団結の象徴だった。これはレフェリーと相談した選手たちのアイディアだ」
また、2000年から05年にかけてホッフェンハイムを指揮したバイエルンのハンジ・フリック監督は次のように語っている。
「サッカーとは関係ない。これを続けることはできない。反撃するときだ。みんなでともに立ち上がらなければいけない。私はここで育ち、ディートマー・ホップのことは20年以上前から知っている。これほどたくさんのことをしてくれた人物に対して本当に申し訳ないと思う」
「我々はこういった愚か者と戦うために団結しなければならない。バイエルンにとってブラックな一日になってしまった。チームとして、クラブとして、大きなシグナルを国外に送った」
パス交換だけで過ごした異様な時間が、何かを変える契機になるだろうか。
【了】