プロフィール
エンリケ・オルテゴ
1956年生まれ。マルカなどで記者を務め、アスでは編集長補佐。現在はマルカに幅広いコネクションを生かした独占情報やコラムを提供し、戦術分析の記事も執筆する。著書も数多く、最近ではクリスティアーノ・ロナウド、アルフレッド・ディ・ステファノ、ラウール・ゴンサレス、イケル・カシージャスといった、レアル・マドリーのオフィシャルブックを執筆している。
巨人同士による対戦
レアル・マドリー対バイエルン・ミュンヘン。この対戦カードが欧州の“エル・クラシコ”であることは、紛れもない事実である。両チームによる試合はチャンピオンズカップ、CLを通して最も繰り返されてきたものだ。
決勝という舞台で当たったことはまだ一度もないが、準決勝では5回も対峙している。彼らの試合は、欧州で最も偉大な歴史を持つ2チームの激突なのである。ただ通算成績では、マドリーの7勝2分け11敗とドイツの盟主の方に分があるが……。
数える程しか存在しない欧州のビッグクラブにおいて、最も偉大な2チーム、巨人同士による対戦。数十年にわたって繰り広げられてきた両チームの試合は開かれた内容になることを義務付けられ、彼らは恐怖も劣等感も抱くことなく、真っ向からぶつかり合ってきた。
では、今季に対戦するとしたらどうか。昨季にクラブ史上5度目のCL優勝を果たしたバイエルンは、タイトルを防衛する形で同大会に臨んでいる。対して、10年以上求め続ける“デシマ(10度目のCL優勝)”マドリーは、バイエルンから王冠を奪わなければならない立場だ。
現在のマドリーが彼らと対峙し、必要となるものは何なのか? 結局のところ、これまでの試合と何も変わることはない。己の勇気と武器のみである。
マドリーがバイエルに勝つ方法は、ホーム&アウェイでも、エスタディオ・ダ・ルスで行われる決勝でも変わらない。攻めに出ることだ。ユップ・ハインケスが昨季まで率いたバイエルンもペップが指揮を執るチームも、ピッチを支配し、イニシアチブを握ることを常としているが、マドリーがそれを譲ってはならない。