フットボールチャンネル

日本代表 5年前

川島永嗣がメディアの前に立ち続けた理由。日本代表がW杯で勝つために必要なこと【インタビュー(3)】

2010年の南アフリカ大会から2018年のロシア大会までの3大会、ワールドカップの全試合でゴールマウスを守った川島永嗣選手がW杯ロシア大会直後に語ったインタビューを『新・GK論 10人の証言から読み解く日本型守護神の未来』(田邊雅之著)から、一部抜粋し全4回で公開する。今回は第3回。(取材・文:田邊雅之)

text by 田邊雅之 photo by Editorial Staff

「技術やフィジカルだけではなく、メンタル的な要素も重要」

川島永嗣
日本代表守護神の川島永嗣【写真:編集部】

──セネガル戦の後、川島選手は一層批判にさらされるようになりました。実際には1、2戦を問わず、失点につながった場面よりも、チームのピンチを救った場面のほうが多かったにもかかわらずです。でも大会期間中は、あえて批判を正面から受け止めてメディアの前に姿を現し続けた。グループリーグ3戦目のポーランド戦では、試合前日の記者会見にも西野監督と登壇されています。ワールドカップのような極限状況の中で、気持ちを切り替えていくのは大変ではなかったでしょうか?

「もちろん簡単ではなかったです。(セネガル戦で)ああいうシーンがあったのは事実だし、試合に負ける可能性もあったわけですから。でも結果的にチームメイトに救われて、セネガル戦でも勝ち点1を取ることができた。そういう状況の中で、自分が気持ちを引きずっていたりすれば、チーム全体にとってもマイナスになってしまう。

 むしろ一番大事なのは、ミスをしてしまった後にどういうリアクションができるか、次の試合で何ができるかになってくる。やはりGKの場合は、技術やフィジカル的な要素だけではなく、メンタル的な要素も重要になるんです」

──実際、3戦目のポーランド戦では、それまで批判をしていた評論家が脱帽するような、すばらしいセービングも披露しています。前半32分、相手FWが右からのクロスに頭を合わせた場面などでは、片手一本で強烈なシュートを弾き、決勝トーナメント進出の望みをつなぎました。これも気持ちの切り替えができていたからこそ、可能になったものではないでしょうか?

「たとえば後半の早い時間にボールをカットしたシーンでは、ギリギリのところで、どれだけ攻めた判断をできるのかが問われていたと思います。ゴールを守ることだけを考えていたら、判断が遅くなっていたシーンでもあったので。

 あの場面では、たしかにボールの軌道が多少、自分のほうにずれてきた面もある。でも相手の側にずれていたとしても、8割くらいの確率で自分のボールにできるようなタイミングで、前に出ることができていたと思います」

(取材・文:田邊雅之)

20200101_gk_kanzen

『新・GK論 10人の証言から読み解く日本型守護神の未来』

<書籍概要>

『新・GK論 10人の証言から読み解く日本型守護神の未来』
定価:本体1800円+税
日本が世界で勝つために必要な、新時代のゴールキーパー(GK)論。 楢﨑正剛、川島永嗣、東口順昭、林彰洋、権田修一、シュミット・ダニエル ら日本を代表するGKら10人への総力取材で読み解く、日本型守護神の未来とは?
“身長を言い訳にする時代は終わった。GKこそ“日本化”が最も必要なポジションである。”
本書は、GKの見方をアップデートする新しいバイブルとも言えます。

詳細はこちらから

【了】

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!