アジアカップ決勝と少し似ていた
東京五輪への本格的なスタートとなったコロンビア戦は完敗だった。森保一監督の目標とする優勝からは、かなり遠い位置から歩み出すことになった。
日本のシステムは3-4-2-1、この年代のメインとなるやり方にしては序盤からコロンビアのビルドアップを制御できす、逆に自分たちのビルドアップが上手くできない。この時点で両チームの力量差は歴然だった。普通にプレーしていたらやられるだろう状況で、選手たちはどうプレーしていいかわからないように見えた。
アジアカップ決勝と少し似ていた。明らかにまずい流れになったとき、A代表の選手でも自分たちでは解決できなかったのだから、若い五輪代表候補たちがベンチの手助けなしで何かを変えるのは難しかったと思う。
DFは中途半端なミドルレンジのパスを出してはカットされてピンチを招き、ディフェンスラインでボールを失って決定機も作られている。3-4-2-1でセットするはずの守備ブロックは5-4-1になっていて、カウンターもままならない。
前半を0-0で折り返せたのは幸運だったが、後半にもリズムは変わらずコロンビアが早々に先制。後半17分から三好康児を投入して4-2-3-1に変えても大勢に変化はなかった。
自滅に近い2失点目
コロンビアの2点目はGKからパスをつなぎ、日本のプレスをことごとく外してのゴールである。GKへのバックパスに対して小川航基がプレスしたが、次のパスに対しての堂安律の寄せは明らかに遅れていた。にもかかわらず、後続の選手たちも中途半端に奪いにいこうとして全部きれいに外された。
奪いにいっては置いていかれ、空いたスペースを運ばれ、最後は逆サイドで余っていた選手へつながれてフィニッシュされている。最初の段階で堂安のプレスが間に合っていないのだから、諦めて撤退すべきケースであり日本の自滅に近い。
終盤には日本もいくつかのチャンスを作れている。久保建英、堂安、三好には崩すアイデアと技術があり、得点感覚のある上田綺世、スピードスターの前田大然、この世代のエースとしてプレーしてきた小川、さらに切り札になりうる食野亮太郎もいる。
ただ、コロンビア戦のような試合をしていたら攻撃陣は不発に終わるしかない。ビルドアップの質は改善が必須だ。DFとボランチのところでボールを支配する力が弱かった。また、ビルドアップで苦戦しているにも関わらずディフェンスラインの裏へのロングボールもなく、コロンビアはそれを見越して守備ゾーンをかなり前へ出してきたので、余計に行き詰まっていた。
強化期間はまだそれなりにあるとはいえ、強化時間はかなり限られている。人選の見直しとオーバーエイジ3人の組み入れを早めに行ったほうがいいかもしれない。
(文:西部謙司)
【了】