マンチェスター・ユナイテッド所属のストライカー、マーカス・ラッシュフォードがここにきて絶好調になっている。直近のプレミアリーグ第12節ブライトン戦でも、2ゴール決めて3-1での快勝に貢献。あとほんの少し運がよければ、ハットトリックを記録してもおかしくない出来で、他にもエラシコでドリブル突破するなど、状況打開でも違いを見せつけた。そんなラッシュフォードが調子を掴むきっかけになったであろうスーパーゴールがある。それがカラバオ・カップ4回戦のチェルシー戦で決めたスーパーなFKだ。
アウェイでのライバル対決に臨んだユナイテッドは3バックシステムが機能し、前半をラッシュフォードのPKにより1-0で折り返した。しかし後半はチェルシーに主導権を握られ61分にミチ・バチュアイの同点弾を許す。公式戦7連勝と勢いに乗るホームチームに押し込まれ悪い雰囲気が漂った。
しかし流れを断ち切ったのがユナイテッドの10番だ。ゴール中央でFKを得ると、キッカーを務めたラッシュフォードがインステップで振り抜く。球威を見るに直線的な動きをするかと思われたボールは空中で2回コースを変えてゴール左隅に突き刺さった。
スタンフォード・ブリッジの観衆が静まり返る驚愕のFKがユナイテッドの勝利を決定付け、敵将フランク・ランパードも「こんなFKは見たことないよ。あれを止められるチームはない」とお手上げだった。
しかもこのFKは、現在ユベントスに所属するポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウドがユナイテッド在籍時に決めた伝説のFKを想起させるゴールだったこともありより話題になった。実際に、ユナイテッドの公式Twitterも比較動画をアップロードするほどだったのだ。
ロナウドの伝説のゴールは、2007/08シーズンのプレミアリーグ第24節、オールド・トラフォードで行われたポーツマス戦で生まれた。
首位を走る赤い悪魔は開始10分でゴール正面からやや右の位置にFKを獲得。迷わずキッカーに名乗り出たロナウドのシュートはブレながらゴール右上の隅に突き刺さり、イングランド代表GKである名手デイビッド・ジェームズは立ち尽くすしかなかった。コース、パワー、スピード全てが完璧なFKで、当時の監督アレックス・ファーガソンは「自分が見た中でベスト」と大絶賛した。
なおユナイテッド公式が動画をアップした動画に対して、「ラッシュフォードの方が良いFK」「いやポーツマス戦のロナウドが最高だ」「FKならば2人よりもデイビッド・ベッカムが上だ」とユナイテッドファンはそれぞれの主張をぶつけあう盛り上がりを見せた。
まだまだFKの成功率を課題としているラッシュフォードは、これを機にコツを掴み、今後も多くのFKを決めることで偉人たちと肩を並べることができるのだろうか。
(文:内藤秀明)