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安西幸輝、ベンフィカ戦完敗に落胆「精神的にきつい。もったいない」。悔やまれる絶好機も

text by 編集部 photo by Getty Images

安西幸輝
ポルティモネンセに所属する日本代表DF安西幸輝【写真:Getty Images】

 ポルトガル1部リーグの第9節が現地30日に行われ、アウェイに乗り込んだポルティモネンセは昨季王者ベンフィカに0-4の大敗を喫した。リーグ戦では第2節のトンデラ戦を最後に勝利から遠ざかっており、18チーム中16位に沈んでいる。

 ポルティモネンセの日本代表DF安西幸輝は5-4-1に近い布陣の左サイドバックとして先発出場。終盤には右サイドにも回った。同代表GK権田修一はひざの負傷のためベンチ入りしなかった。

 試合後、取材エリアに暗い表情で現れた安西は「きついっすよ、本当に、精神的に。ボールをもらえないというのはフラストレーションがすごく溜まるし。チームのやり方があるのでしょうがないですけど、もっとできるのにもったいないゲームになっちゃったと思います」と4失点しての完敗を悔やんだ。

 前節から5バック気味に構える布陣を採用しているポルティモネンセは、流れの中では粘り強く守ってベンフィカに対抗できていた。しかし、17分にコーナーキックからベンフィカのDFアンドレ・アウメイダにあっさり先制点を許すと、後半開始直後の47分にも再びコーナーキックの流れから失点を重ねた。

「ああいうセットプレーをモノにしようとするのにすごく集中力が高かったので、本当にいいチームだと思いました」

 安西はベンフィカの強さを目の当たりにした。ぬかるんだピッチで90分間戦い抜く総力、全員のハードワーク、ブレない技術…どのポジションにも紛れもないトップクラスの選手が揃っていた。

 そしてポルティモネンセにもいい流れがきそうになると、一瞬の隙を見逃さずにゴールを奪って主導権を渡さない。後半にも強度が下がり始めたところで追撃の3点目と4点目を奪われたポルティモネンセは、反撃の芽を摘まれてしまった。

 左サイドで積極的に高いポジションを取った安西は、フリーでセンターバックにサイドチェンジのボールを要求するも、なかなかパスが回って来ずに苦しんだ。大きく振っても見てもらえない。前半の11分には右サイドからのクロスに飛び込んで絶好機を迎えたが決めきれず、90分間の中で見せ場はそれくらいしか作れなかった。

「最初は僕にチャンスがあったので、あれを決められればもっと試合は違ったと思う。外しちゃったので、あれは申し訳ないです。けど、チームとしてやっぱり4失点というのはありえないし、本当に一瞬の隙だと思うんですけど、その一瞬が相手の方が上手だった。それはこっちにきてすごく感じます」

 ベンフィカの両サイドバックにも力量差をまざまざと見せつけられた。だからこそ安西はチームのために何か少しでも貢献するためにもがき続ける。

「今、こんなに勝てていないのは本当に辛い。でもサイドバックというポジションはメインじゃない。やっぱり味方がボールをつないでくれて、(パスを)出してくれて初めて生きるポジションがサイドバックだと思うので、僕自身もっと仲間を信頼しなきゃいけないし、もっとボールを出してくれるように味方にアピールしなきゃいけないのかなと思います」

 次節は11月4日のサンタ・クララ戦。安西は「今日は完敗でしたけど、次にしっかり切り替えてやりたい」と言葉に力を込めた。落ち込んでいる暇もなく次の試合がやってくる。まずは1つ勝利を手にして、チーム全体の悪い流れを断ち切りたいところだ。

(取材・文:舩木渉【ポルトガル】)

【了】

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