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リバプール、「雨垂れ石を穿つ」が呼び込んだ逆転勝利。首位独走を支えるファビーニョの資質

プレミアリーグ第10節、リバプール対トッテナムが現地27日に行われた。開始1分にトッテナムが先制した試合は、2-1でリバプールが逆転勝利。UEFAチャンピオンズリーグ決勝の再戦となったこの試合で、中盤を司るMFファビーニョの存在が際立っていた。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

CL決勝の再戦。再び開始1分に試合は動く

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リバプールのMFファビーニョは逆転勝利に貢献した【写真:Getty Images】

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ファイナリストが、5か月を経て再び顔を合わせることになった。

 リバプールは直近のCL・ヘンク戦でDFトレント・アレクサンダー=アーノルドが病欠、アンドリュー・ロバートソンが63分に退いたが、両者ともこの試合では先発メンバーに名を連ねた。前節の引き分けで今季のプレミアリーグ開幕からの連勝は8で止まったが、この試合の勝利で9戦1分けとして無敗を継続している。

 リバプールが14季ぶりにビックイヤーを掲げたCL決勝では、開始1分にMFムサ・シソコがハンドの反則を取られ、リバプールがPKから先制点を挙げる。結果的にこのゴールが決勝点となった。

 CL決勝と同様に、試合は開始1分に動く。シソコがドリブルで持ち上がり、FWソン・フンミンが左サイド寄りの位置からシュートを放つ。これは相手DFに当たってポストを叩いたが、跳ね返りをFWハリー・ケインが頭で流し込み、トッテナムが先制に成功した。

 先制したトッテナムは、2列目のソン・フンミン、MFクリスティアン・エリクセン、MFデリ・アリも中盤の守備に参加してブロックを敷いた。中盤の守りを固められたリバプールだったが、徐々にペースをつかんでいく。

 27分、味方の落としからFWモハメド・サラーが左足でシュートを放つが、GKがこれを弾く。こぼれ球をFWロベルト・フィルミーノが狙うが、GKが身体を寄せてこれを阻止。直後のFKをDFフィルジル・ファン・ダイクがヘディングでゴールを狙うが、これもGKが防ぐ。さらにはロバートソンのグラウンダーのクロスをPA外からA・アーノルドがミドルシュートを放つが、これもGKに阻まれた。

 リバプールはこの時間帯、波状攻撃のように相手ゴールに襲い掛かるが、GKパウロ・ガッサニガがことごとくこれを防いで、トッテナムは事なきを得た。

攻め続けたリバプールが逆転勝利

 後半に入っても、リバプールは前半同様にボールを保持し、幅を作る両サイドバックを起点に攻撃を繰り出す。トッテナムは4-5のブロックを自陣に敷いたが、ワイドに開いた相手のサイドバックに対しては、サイドバックではなくソン・フンミンとエリクセンが対応。しかし、どうしても一瞬遅れてしまい、A・アーノルドからは試合を通じて20本ものクロスを上げられた。

 トップ下のデリ・アリも中盤のスペースを埋めるため、リバプールのアンカーを務めるファビーニョがフリーの状態が生まれる。クリア本数はリバプールの8本に対してトッテナムが35本を記録。そのクリアボールはことごとくファビーニョに拾われ、トッテナムは前に出る機会を失った。

 52分、ファビーニョの浮き球をフィルミーノが潰れると、MFジョーダン・ヘンダーソンが左足でシュートを放つと、これがゴールネットを揺らした。この試合15本目のシュート、9本目のオンターゲットが、ようやくゴールへと結びついた。

 74分にリバプールはクリアボールにマネが反応。一度はDFセルジュ・オーリエにボールを奪われたが、隙を突いて奪還すると、オーリエの足がマネに当たってしまいPKの判定。これをサラーが決めてリバプールは逆転に成功した。

 トッテナムは、オーリエに代えてFWルーカス・モウラを入れて同点を狙う。しかし、反対に負傷したサラーを下げて、DFジョー・ゴメスを入れて守備を固めたリバプールがリードを守り切った。

 攻撃が通用しなければ、戦略を変更するという手段がある。しかし、「雨垂れ石を穿つ」という故事があるように、続けていくことで結果が実ることもある。トッテナムが先制した1分からサラーがPKを決めた75分まで、両チームはプランを変更することはなかった。しかし、結果的にリバプールが垂らし続けた「雨」が、トッテナムの「石」に穴をあけた。

1年の月日を経て不動の地位を築くファビーニョ

 リバプールの1点目はファビーニョから生まれた。相手のクリアボールを拾って、ロバートソンとパス交換をしたあと、浮き球のパスが同点弾を決めたヘンダーソンへと通った。
今季のUEFAスーパーカップでも同じような浮き球のパスで同点弾を演出しているように、中盤の底からのゲームメイクには特筆すべきものがある。

 もちろん、持ち前の守備力はこの試合でも光っていた。データサイト『Whoscored』によると、タックル数は4、インターセプトは3を記録し、ともに両チームトップの数字。カウンターから得点機を窺う、トッテナムの反撃の芽を摘んだ。

 ユルゲン・クロップ監督が標榜するサッカーには「チャレンジ」が求められ、「ミス」がつきまとう。奪われても奪い返す、ミスしてもそれをカバーする。そのミスをカバーするのがファビーニョであり、味方をサポートするのがアンカーの役割になる。

 思い返せば、昨季リバプールに加入したファビーニョは、当初はチームへのフィットに苦しみ、出場機会をなかなか得られなかった。プレミアリーグ初先発はこの試合と同じ10月27日の第10節。そこからパフォーマンスで実力を証明したファビーニョは、1年の月日を経て、リバプールのアンカーにおいて不動の地位を築いている。

(文:加藤健一)

【了】

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