2連勝で臨む一戦も、久保建英はベンチスタート
ホームのレガネスは今シーズン、ここまで9試合を戦い、勝ち点はわずか2ポイントしか獲得できていない。昨季、勝ち点45を獲得してチームを13位にまで押し上げたマウリツィオ・ペジェグリーノ監督は、10月21日に解任。この試合では、Bチームを率いていたルイス・センブラノスが暫定的にこの試合の指揮を執った。
第8節エスパニョール戦で開幕戦以来の勝利を収めたマジョルカは、代表ウィーク明けとなった26日のレアル・マドリー戦でも大金星を挙げ、降格圏から脱出。レガネス戦では連勝した直近2試合と同じ11人を先発で起用し、MF久保建英は3戦連続のベンチスタートとなった。
マジョルカは前半、MFイドリス・ババとMFサルバ・セビージャは比較的フリーな状態でボールを持つことができたが、シュートにはなかなか繋げられず。前半は58%のボール保持率を記録しながらも、シュートは散発の3本のみに終わった。
レガネスは前任者が用いていた5バックシステムを捨て、4-2-3-1のマジョルカに合わせるように4-1-4-1の布陣を採用。自陣でブロックを敷きながらカウンターを狙う時間が前半は続いた。
そのレガネスは31分、右サイドからDFロベルト・ロサレスがクロスを上げると、ニアでFWギド・カリージョが潰れ、ファーサイドでFWマーティン・ブライトワイトが滑り込みながらゴール。第3節以来となる先制点を挙げて、前半を1-0で終えた。
後半に入るとリードするホームチームは積極的にプレッシャーをかけていく。ボールを敵陣でなかなか保持できなくなったマジョルカは、59分にダニ・ロドリゲスを下げて久保建英をピッチに入れた。
7分が与えられたアディショナルタイムは刻一刻と進み、マジョルカは最下位チームに今季初白星を献上した。
久保建英は袋小路に迷い込んだ
アディショナルタイムを含めた約38分のプレーの中で、久保のパス本数はわずかに6本で、成功率は50%。必ずしも個人の問題とは言えないが、この試合はチームとしても攻撃の打開策を持てていなかった。
唯一のハイライトは72分。右サイドでボールを持った久保はカットインのフェイントからタッチラインへの突破を狙うが、惜しくもDFの網に引っかかる。80分には右サイドからのクロスをニアに飛び込むが、ヘディングシュートは枠外に大きく外れた。86分にも右サイドからダブルタッチでの突破を図るが、転倒してボールを失ってしまった。
リードした状況でピッチに立った直近の2試合では、サイドハーフとして守備でのタスクに比重が置かれた。守備時には相手のサイドバックを監視し、時にはディフェンスラインに吸収される形で守備に奔走した。
ボールを持った時に複数の選択肢を持ちながら、適当なカードを選べるのが、久保のストロングポイントだ。しかし、この試合では右サイドでボールを持ったとき、サポートに入るサイドバックには相手のサイドハーフがつき、久保に対してはダブルチームを仕掛けることで、2対3という状況を作られてしまい、選択肢を限定されてしまう。
日本代表であれば、酒井宏樹がインナーラップをしかけ、南野拓実か大迫勇也が中央からダイアゴナルランで右サイドに抜ける。すると、久保に対峙する相手DFの1人を剥がして1on1の状況が生まれる。ここで初めて久保には複数の選択肢が生まれるのだが、この試合では相手が2人いる状況でのドリブル突破かバックパスしか選択肢を持つことができなかった。
途中出場が続くこの3試合で、久保は求められるタスクと周囲との連携の板挟みとなり、自らのストロングポイントをなかなか発揮できていない。マジョルカをセグンダB(3部相当)から2年でプリメーラ(1部)へと引き上げたビセンテ・モレーノ監督が、チームの戦い方に修正を加えるようであれば、久保個人にとっても希望が生まれるだろう。
(文:加藤健一)
【了】