日本代表のMF柴崎岳【写真:Getty Images】
日本代表は現地15日、2022年カタールワールドカップのアジア2次予選でタジキスタン代表に3-0の勝利を収めた。
中盤で攻撃を組み立てるはずのMF柴崎岳も、アグレッシブに攻め込んでくるタジキスタンに対して守備に追われる時間が多くなってしまった。日本の心臓部を担う27歳は「前半は相手のホームでサポーターの後押しもあって、自分たちの慣れた環境であったり、メリットを生かして、勢いもあったし、彼らのスタイルを前面に押し出してきたなというのはあった」と劣勢に回った前半を振り返った。
最終スコアは3-0だったものの、最初のゴールはタジキスタンの選手たちが見せるプレーの強度が落ちてきた後半に生まれた。「相手も前半ほどの勢いもなくなって、中盤を攻略しやすくなって、前半よりもゴール前でのシーンが増えた」と柴崎は感じていた。
そして歯車がうまくかみ合わずに苦戦していた日本が、前半を無失点で終えて後半の巻き返しにつなげられた要因として、柴崎は「チャンスは作られたけど、しっかり権田(修一)くんがしっかり防いでくれた」ことを挙げた。
特に重要だったのは24分に最終ラインの裏に抜け出してきたエフソン・パンジュシャンべと1対1になった場面で、素早く間合いを詰めて至近距離からのシュートを弾き出したセーブだった。まさしくスーパーセーブだった。
もしあの時間帯にホームチームが先にゴールを奪っていたら、残りの時間帯は自陣に引きこもって虎の子の1点を守りきるプランに切り替えられていたかもしれない。前日記者会見で「みなさんを驚かせる試合をしたい」と述べたタジキスタン代表のウスモン・トシェフ監督が「勝つためには1点でいい。6点も7点もいらない」と言っていた通り、やみくもにリスクを冒して攻め続ける戦い方を避けていたはずだ。
そうやってゴール前の守りを固められてしまったら、なかなか流れの中からチャンスを作るのは難しくなってしまっていただろう。もし後半にタジキスタンの選手たちの運動量が落ちていたとしても、よりゴールを奪うのが難しい展開になっていたはずだ。そういう意味でも前半に失点を許さなかったのは大きな成果だった。
「(権田のファインセーブは)個人のパフォーマンスですけど、チームのパフォーマンスにもつながった。うちらも決定機があったけどモノにできず、個人的にはちょっと嫌な感じだなと思っていましたけど、あたふたしてもしょうがないので、しっかりまたチャンスを作るためにやっていこうという強い気持ちでいました。
(後半は)相手も前半ほどの勢いもなくなって、中盤を攻略しやすくなって、前半よりもゴール前でのシーンが増えた。前後半で分けて評価を考える必要はないし、90分通してのマネジメントを考えた方がいいので、結果もそうだし、チームのメンタリティも良かったと思っています」
柴崎が「切り替えのスピードがいつもより若干遅かったのと、攻めている時のポジショニング、リスクマネジメントがいつもより曖昧だった。奪えればいいけど、今回はひっくり返される場面が多かった」と語ったように、間違いなく課題が残る一戦だった。それでも苦しい展開を乗り切って、アウェイでもぎ取った勝ち点3は今後の戦いに大きな影響をもたらしてくるはずだ。
【了】