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日本代表 5年前

久保建英が見せるべき「伝家の宝刀」とは? 伊東純也の台頭で競争激化。18歳がやるべきこと

サッカー日本代表は10日、カタールワールドカップ(W杯)アジア2次予選第2戦でモンゴルに6-0と勝利した。この試合で右サイドに入った伊東純也が3アシストを記録する活躍でポジション争いは激化の様相を呈した。久保建英は厳しい立場になりつつあるが、自らの力を示すことはできるか。(文:元川悦子)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

CL出場で自信を深めた伊東純也

伊東純也
モンゴル戦で圧巻のパフォーマンスを見せた伊東純也【写真:Getty Images】

 10日のホーム・モンゴル戦を6-0で勝利し、2022年カタールワールドカップアジア2次予選序盤2連勝と好スタートを切っている森保ジャパン。彼らは11日に次戦の地・タジキスタンへ移動。12日からトレーニングを再開した。

 現地は最高気温25度超、最低気温10度前後という寒暖差の激しい気象条件で、試合会場となるドゥシャンベ・セントラル・スタジアムのピッチは人工芝だ。ザッケローニ監督体制で訪れた8年前は芝の状態がボロボロだったため苦戦を余儀なくされたが、今回はまた異なる難しさに直面することになる。

 しかもタジキスタンはここまで2連勝の勝ち点6を確保しており、10日は予選がなく十分な調整時間を確保できた。そういう意味でも日本が厳しい戦いを強いられる可能性が高い。困難な環境をいかに制するかが、森保一監督の腕の見せどころだ。

 モンゴル戦では9月のミャンマー戦からのスタメン入れ替えが奏功し、永井謙佑と遠藤航がゴールし、伊東純也が3アシストを記録した。とりわけ、伊東の残したインパクトは大きく、キャプテン・吉田麻也も「純也はリーグ移籍して優勝して、チャンピオンズリーグ(CL)に出始めて、非常に自信を深めている時期。こういう時に一番伸びるので、伸びることができるところまで突き抜けてほしい」と目覚ましい成長ぶりに目を見張っていた。

久保建英に期待したい「伝家の宝刀」

久保建英
日本代表の久保建英【写真:Getty Images】

 となれば、ウカウカしていられないのが、同じ右サイドに入る堂安律と久保建英だ。堂安は森保監督からある程度の信頼を勝ち取っているうえ、新天地・PSV移籍後、9月29日のズウォレ戦でゴールをマークしているからまだいいが、久保に至っては最近のスペインで得点につながるプレーを出せていない。球際や寄せの激しさに苦しむシーンも目立ち、本人もいかにして自分のよさを発揮するか考えているに違いない。

 森保監督も9月シリーズで「守備の部分でまだまだ強さが足りない。まず強さを上げてもらうことにトライしてほしい」と注文をつけていたが、いかに強度を上げるかが彼に託された重要テーマと言っていい。そこが改善されない限り、代表でレギュラーをつかみ、コンスタントに活躍することはできない。そういう胸に刻んで、タジキスタン戦に挑んでほしいものだ。

 次戦もスタートからの出場の可能性は低いが、ミャンマーやモンゴルよりはるかに強いタジキスタン戦で、日本が過去2戦以上に苦しむことは少なからず考えられる。タフさを前面に押し出してガッチリと自陣ゴール前を守ってきたら得点を取るのは難しくなる。

 カズ(三浦知良)以来、26年ぶりのワールドカップ予選開幕2戦連続ゴールを決めた南野拓実やエースナンバー10・中島翔哉らのアタックが封じられた時、指揮官も何らかの手を講じなければならなくなる。特にセットプレーのブラッシュアップは重要テーマになってくる。

 そこで、直接FKという「伝家の宝刀」を持つ久保にチャンスが巡ってくる可能性は少なくない。A代表ではまだ直接FKは決めていないものの、2016年AFC・U-16選手権のベトナム戦や2018年AFC・U-19選手権の北朝鮮戦など年代別代表の公式大会では結果を出している。それだけ精度の高いキックを蹴れるのは心強い限りだ。

 モンゴル戦の日本はCK17本、直接FK11本のチャンスがあり、そのほとんどを中島が蹴ったものの、得点につながったのはわずか2つのみ。その実情を考えても、久保への期待は高まってくる。

史上最年少得点へ期待が高まる要素

 加えて言うと、久保は人工芝ピッチを得意としている。「自分は人工芝は苦手じゃないんで。むしろ最近までやっていてやりやすい」と本人も自信をのぞかせる。

 FC東京U-18でプレーしていた数年前は日常的に人工芝で練習していて、年代別代表の活動でもそういう環境での戦いが少なくなかった。そこは年長者たちに比べるとアドバンテージはある。モンゴル戦に出ていない分、コンディションがいいことも追い風と言えるだけに、そろそろA代表史上最年少得点記録の更新を達成したいところだろう。

「いつまでも(最年少記録のことを)言われ続けるのもあれなんで、早いうちに決められればそれで終わりなのかな」とモンゴル戦前にも野心をのぞかせていたが、今回こそは得点を決めて、周囲の雑音をシャットアウトすることが肝要だ。

 おそらく次戦は堂安がスタート、久保が途中出場になると目される。あるいは南野に代わってトップ下でピッチに立つこともあり得るだろう。そのいずれにしても、「どこでもできるっていうのを1つのウリにしていければいい」と言う久保なら戸惑いなくプレーできるはず。

 6月のコパアメリカで世界のトップ選手を相手に堂々とドリブル突破からシュートに持ち込んだように、思い切りのよさを強く押し出すこと。熾烈な2列目アタッカー争いを制するためにも、それをしっかりと意識して次戦にのぞむべきだ。

(文:元川悦子)

【了】

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