久保建英はマジョルカでの試合を終えてすぐに移動し帰国した【写真:Getty Images】
日曜日にスペインの離島で試合を終えたばかりの選手が、翌日の月曜日夕方には日本で練習に参加していた。18歳のMF久保建英は、異例の強行スケジュールで日本代表に合流して周囲を驚かせた。
通常であれば欧州で日曜日に試合をこなした選手は、翌日帰国して、火曜日から代表に合流する。しかし、久保は違った。マジョルカのホームゲームだった6日のエスパニョール戦に2-0で勝利すると、すぐに空港へ向かって帰国の途に。翌6日午後5時開始予定の日本代表の練習に空港から直接向かった。
「それは普通に5時から練習というのがあって、自分の飛行機が3時半着だったので、まあ間に合うかなというところで」
久保は平然と語るが、途中出場とはいえトップレベルの試合に出場した直後に出発し、十分な回復の時間が取れないまま、時差のある日本で練習に参加する厳しさは想像に難くない。若さゆえにできることなのかもしれないが、彼のプロフェッショナルとしての意識には18歳とは思えないものがある。
「時差ボケのところでも、着いた日に運動した方がいいというのは聞きますし、そういった意味で今日(8日)もしっかり練習ができて、コンディションを少しでも高められるのがいいのかなと。自分はあんまり休むと体がなまっちゃったりするので、そういう意味でも早く合流できてよかったかなと思います」
6月のコパ・アメリカを除くと、久保はまだA代表で先発の機会がない。デビュー戦だった6月のエルサルバドル戦、9月5日のパラグアイ代表との国際親善試合、同10日のカタールワールドカップアジア2次予選ミャンマー戦、いずれも後半途中からの出場だった。
だからこそ、スタメンを勝ち取るためには少しでも準備の期間に長くトレーニングをこなす必要があるのかもしれない。18歳の若者は、日本代表としての責任を感じながら、向上への意欲にあふれている。
例えば5日にリーグ戦でベンチ入りし、自分よりも1日遅れで日本代表に合流した南野拓実と比較されても「アドバンテージだとは思っていない」と強調する。あくまで日本代表選手は、日本のために試合までの時間が短くても万全の状態を整えることが最低限の責任だと考えているからだ。
「1日早く帰ってきていると言っても、南野選手は試合が土曜日でしたし、もっと言えば週中の試合から温存という形だと思いますけど、(週末は)試合に出てないので、コンディションは自分より上かもしれないですし、特に2日が自分にとってアドバンテージだとは全く思っていないです。準備するのは自分たちにとっての義務だと思うので、そこはいつ来ようが、例えば飛行機が明日着だったとしても代表戦までには仕上げるのが代表選手としての最低限の守るべきものなのかなと」
日本代表には海外でプレーする選手が増え、招集メンバーのうち先月は19人が、今月は20人が欧州組となっている。久保も先発のチャンスをうかがうが、「自分だけじゃなくて、チャンスをもらった選手が最低限のプレーをできるように、みんながしっかりコンディションを整えてると思うので、誰が出ようが最高のサッカーできる」とチームのために責任を果たすことの重要性を力説した。
(取材:元川悦子、文・構成:編集部)
【了】