ルーファス好きのアブラモビッチ
先週、好きなルーファス・ウェインライトのコンサートに行ってきた。日本は2公演だけ、大阪はIMPホール、東京は渋谷公会堂だった。ソウルから日本、そしてシンガポール、オーストラリアと回るそうだ。今回は彼がソロでピアノとギターを代わる代わる弾きながら歌う、至ってシンプルなステージである。
基本は陽気なのだが、いざ歌うとなると、瞬間スイッチが入って、その集中力、その表現力に圧倒されてしまう。彼はゲイでドイツ人のアートディレクターとラブラブな結婚生活を送っていて、リスペクトするレナード・コーエンの愛娘に精子を提供し子供も作っていたりする。
なんでルーファスなのか?
実は少し前にこんな記事があった。チェルシーのオーナーであるアブラモビッチがルーファスのファンであり、「スタンフォードブリッジ」内のナイトクラブにルーファスが出演した際のライブ・レビューで「ルーファスはチェルシーとサインを交わすのか?」みたいなジョークなリードが載っていたのだった……。
『欧州サッカー批評07』「フットボールから差別がなくなる日は来るか」より
チェルシー好きの植田編集長にそのことを話すと、「僕はそのケはないんでよくわかりませんね、ヒヒヒッヒッ」と薄笑いを浮かべながら、それならこの記事を読んでください、と言われたのがこれ。
うかつにも読んでいなかった。ゲイとカミングアウトし、悲劇的な死を遂げたプレミアリーグの選手ジャスティン・ファシャヌ。ミュージシャンやアーティストでカミングアウトした人たちに比べて、アスリートの世界ではゲイはより一層過酷な状況におかれていることがわかる。
映画『ブロークバック・マウンテン』で流れた2つの曲、ルーファスが歌う『The Maker Makes』が響き、ディランの『He Was A Friend Of Mine』がまたずっしりと切なく甦った。
「これでも一番もっこりしてない写真を選んだんですよ、ヒヒッヒヒヒッヒッ」と聞いてもいないのにうれしそうに植田編集長が教えてくれた。
【了】