ポルトに所属するMF中島翔哉はELフェイエノールト戦に臨む【写真:Getty Images】
ポルトはポルトガル国内屈指のビッグクラブでありながら、チームスピリットを非常に重要なものと位置づけている。スター選手の個人能力だけでサッカーは成り立たず、試合に勝つこともできないのは歴史も証明している。
中島翔哉は今年の夏にポルトの一員となり、これまで先発出場の機会を得られず苦しんできた。だが、ここにきて公式戦2試合連続でスタメンに名を連ねることができている最も大きな理由は、献身的なプレーで11人のうちの1人として組織の中で機能するようになったからに他ならない。
先月15日のポルティモネンセ戦では守備時に緩慢なプレーを見せたからか、中島は試合終了直後のピッチ上でセルジオ・コンセイソン監督から厳しく叱責された。その問題が大きな話題となる中、指揮官は同月19日のヨーロッパリーグ(EL)初戦、ヤングボーイズ戦に向けた記者会見で次のように語っている。
「ポルトと契約を結ぶだけで十分ではない。その意味を感じなければならない。中島にしろ、私にしろ、芝生の管理人も、ここに座っているチームの広報もそうだ。それこそこの家を代表するということなんだ。もちろん誰にでもミスはある。私もミスがあれば責任を取る。だが、日々示さなければならないこともある。それはモチベーション、野心、決意、犠牲心といったものだ。我々のベースになるものなんだ」
誇り高いポルトでプレーすることの意味を、身を以て感じてプレーで体現すること。これこそが指揮官から中島への要求だったと言えるだろう。
チームスピリットの重要性について、ポルトのエースFWも同クラブ専門マガジン『Dragões』に掲載されたインタビューで語っていた。今季のリーグ戦で6得点を挙げているカーボヴェルデ代表のストライカー、ゼ・ルイスは次のように述べる。
「僕たちのモットーである『ドラゴンと共に。兄弟のように戦う』という言葉にはたくさんの意味がある。僕ら選手たちは兄弟のようなもので、お互いを守る。このチームにはその思いがある。ただの言葉ではないんだ。僕のような新加入の選手も、このチームに来てそれを感じている」
あのポルティモネンセ戦の後、中島は出場機会を得るたびに献身性あふれるプレーで評価を高めてきた。特に守備面での見違えるような変化には、多くのメディアも言及している。「ドラゴンと共に。兄弟のように戦う」というモットーを組織の中で体現しているのだ。
ポルトは現地3日にELのグループリーグ第2節でフェイエノールトと対戦する。ポルトガル主要各紙の予想はまちまちで、『レコード』紙と『オ・ジョーゴ』紙は中島をベンチスタート、一方で『ア・ボラ』紙はスタメン出場と見ている。
この大一番でチャンスを得た際に、これまでのような献身性のみならず結果で信頼に応えられるか。フェイエノールト戦は中島にとって試金石になる貴重な一戦だ。
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