ポルトに所属する日本代表MF中島翔哉【写真:Getty Images】
ポルトで出場機会の確保に苦しむ日本代表MF中島翔哉だが、チーム内での立場に変化が生まれようとしているかもしれない。
ポルトガル紙『レコード』は「組織の相互関係が中島の輝きを後押し」という見出しの記事を、現地27日付の紙面に掲載した。
記事の中では中島が現地25日に行われたタッサ・ダ・リーガ(リーグカップ)のサンタ・クララ戦で、いかにして輝けたのかを分析している。
「中島はポルトのファンを喜ばせた。特にジオゴ・レイチのゴールへのアシストと、ラファエル・ラモスを台無しにしたエラシコは、攻撃面で疑いの余地のないものだった。バランスに関しては、特にポルティモネンセ戦の結果によるもので、ポルトにおける守備面での要求を即座に満たす能力があった。日本人は歯を食いしばって立ち上がったが、サンタ・クララ戦ではチームの組織の相互関係から恩恵も受けた」
試合後にセルジオ・コンセイソン監督から一喝されたポルティモネンセ戦から10日あまり、中島の守備面での献身性や戦う姿勢は徐々に評価されるようになってきた。特に25日の試合でのパフォーマンスは見事で、ポルトの戦術も中島やMFロマーリオ・バロといった攻撃的な中盤の選手の持ち味を最大限に生かすために組み立てられていたと『レコード』紙は見ている。
鍵になったのはビルドアップだ。この試合ではしばしばセントラルMFのチャンセル・ムベンバが最終ラインまで下がり、DFぺぺやDFジオゴ・レイチとともに3バックのような形を作って攻撃を始めた。そうすることによって両サイドバックを高い位置に押し上げ、中島とロマーリオ・バロが中央に絞った位置から攻撃に絡んでいく。
もし高い位置で中島がボールを失っても、2トップのうちどちらか、サイドバック、背後にはセントラルMFのカバーがあり、奪い返しやすい状況を作っていた。これによって攻撃から守備の切り替えの局面で長い距離を走ったり、一瞬反応が遅れたりしても傷が大きく広がりにくくなっていた。
中島にとっては「守備への切り替えにおける義務が緩和された」ことになる。さらに「チームの考えに対する彼のコミットメントは明白だった」と背番号10の意識が変化していることも『レコード』紙は指摘している。
コンセイソン監督も試合後の記者会見で「中島とロマーリオ・バロを中央でプレーさせることにより、そのエリアに数的優位性を作りたかった」と攻撃の狙いについて説明していた。
サンタ・クララ戦での奮闘を経て、紙面での「ポルトのファンは彼のプレーを気に入っており、セルジオ・コンセイソンは文句を言う必要がない」という評価からは、中島のチーム内での立ち位置が変わりつつあることもうかがえる。
これまで左サイドのレギュラーとしてプレーしてきたFWルイス・ディアスとは違った特徴を持つ中島をどう生かすか。その解決策が見つかったか。ボールを持てば「真のアーティスト」とも称されるほどの絶大な武器を持つ背番号10を、指揮官が今後どのように起用していくか注目だ。
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