ポルトに所属する日本代表MF中島翔哉【写真:Getty Images】
ポルトで今季2試合目となるリーグ戦出場を果たした日本代表MF中島翔哉は、受難の時を迎えている。
現地15日に行われたポルトガル1部第5節のポルティモネンセ戦に72分から途中出場した中島は、相手に傾きつつある流れを取り戻すようなプレーを見せられず。チームは後半アディショナルタイムの98分に劇的な勝ち越しゴールを奪って3-2の勝利を収めたが、現地メディアでは辛辣な評価が並んだ。
16日付の各紙での採点は、軒並み最低点だった。『レコード』紙は多くの選手に「4」や「3」の高評価を与えた一方、中島も含めた交代出場の3選手に最低点となる「1」をつけた。
寸評では「試合の入りが悪かった。最高潮に達したポルティモネンセの2点目の場面で不注意」と指摘している。77分にポルティモネンセの日本代表DF安西幸輝がカットインから左足ミドルシュートでゴールを決めた場面、中島はフリーのGKにプレッシャーをかけた後にゆっくりとした走りで戻り遅れ、すぐ近くで突破を試みる安西に寄せていかなかった。
このプレーについて、戦術分析の項では「同点ゴールの場面では、日本のウィンガー(ここではサイドバックの安西のこと)が中島を通過し、抵抗なくカットインした。プレッシャーから解放されると、そこには誰もいなかった」と図を使って解説されていた。そしてカバーを怠ったダニーロ・ペレイラやマテウス・ウリベとともに名前も挙げられていた。
『ア・ボラ』紙は「彼がポルティマンで成し遂げたことを忘れないホームのファンに大きな拍手を浴びた」と述べつつ、中島をチーム最低タイの「4」と評価した。「7」や「6」「5 」の高評価を与えられた他の選手と比較しても、際立って低い数字だ。
寸評でも「プレーは魅力に欠け、最悪だったのはポルティモネンセの追い上げが彼が芝を踏んですぐ始まったことだ」と指摘。中島が投入されたのが72分で、ポルティモネンセの1点目は74分、2点目も77分と立て続けの失点が生まれたことも印象を悪くした要因かもしれない。
最も辛辣だったのは『オ・ジョーゴ』紙だった。「7」や「6」の高評価が並ぶ中、中島の祭典は終盤に退場したアレックス・テレスと並ぶ最低タイの「3」。「彼の出場と相手の反撃が同時に起こったのは真実で、素晴らしいゴールを決めた日本人の安西のカバーは効果的ではなかった」と明確に守備面での甘さに言及している。
中島は試合終了直後、ピッチ上でセルジオ・コンセイソン監督に激怒された。周りの選手たちが止めに入るほどの怒りぶりだったのは、守備面での戦術理解や貢献意欲の低さが目立ったからかもしれない。
『オ・ジョーゴ』紙も「彼の中に悪の源を見つけるのは簡単で(時には不公平でもある)、コンセイソン監督の最も大きな胃の痛みに間違いない。監督のコントロール下で、優れた日本人の育成がフェアプレーに徹する彼を作り上げた」と皮肉を交えて厳しい評価を下している。
コンセイソン監督がポルトで採用している戦術において、攻守にわたるハードワークは欠かせない要素。自由奔放なプレースタイルと要求されるプレーにうまく折り合いをつけ、巻き返しのきっかけをつかみたい。中島が定位置確保のために失いつつある監督からの信頼を取り戻し、どう挽回していくか注目だ。
【了】